インドから元児童労働者の少年と活動家が来日

インドから元児童労働者の少年と活動家が来日

Pocket
LINEで送る

スマン・クマール・ マハト君「ぼくは、家事労働者として働いていました。母が病気になり、治療費を雇い主から借金しました。朝5時半から夜10時過ぎまで働きました。働いていた家の子どもたちは学校に通っていました。教科書やペンを見て、自分も行きたいと思いましたが、そんなことは不可能だと思っていました。家がとても貧しかったからです」(スマンくん:15歳)

インドのゲストが日本で児童労働の問題について呼びかけ

2006年6月7日から、インドの15歳の少年、スマン・クマール・マハトくんと、国際的に活躍する児童労働問題の活動家、カイラシュ・サティヤルティさんがアムネスティ日本の招待で来日しています。

スマン君は5年前、カイラシュさんが率いるインドのNGO、Bachpan Bachao Andolan(BBA:子ども時代を取り戻せ運動)に救出されました。その後、団体が運営するリハビリテーション施設で生活しながら教育を受けました。施設で訓練を受けたスマンくんは、子ども活動家として児童労働をなくす活動に積極的に参加しています。

「児童労働が遠い問題と思われやすい日本の人たちに何を伝えたいですか?」という質問に対し、スマン君はこう応えました。「広島と長崎に原爆が落とされた日本には、痛みを味わった経験がある。だから世界のあちこちで苦しみや痛みを背負っている子どもたちの気持ちがわかるはず。子どもたちを奴隷状態から解放するためにぜひ協力してほしい」

働いていた時は、将来の生活に夢を描くことはなかったそうですが、将来は周りで困っている人を助けてあげるようなおとなになりたいと話していました。

2006年6月9日の朝、カイラシュさんとスマンくんは「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーンの事務局を訪問し、事務局長の今田さんから、昨年の日本での「ほっとけないキャンペーン」の盛り上がり、その後の課題などについてお話を聞きました。その後、世界のまずしさという問題をどのように一般市民に理解を促していくかについて意見交換を行いました。

児童労働をなくすための世界的なムーブメント

カイラシュさんは世界の180の国が参加する「教育のためのグローバルキャンペーン(GCE)」や、140カ国が参加する「児童労働に反対するグローバルマーチ」の代表として、貧困や世界が抱える課題の解決に向けて世界的な連帯を呼びかけている中心的存在です。2005年の国連サミットにも、スマンくんをはじめ、世界各国の子どもたちを連れて参加し、児童労働や子どもの教育に取り組むことの重要性を訴えました。

「児童労働と、貧困、非識字、紛争は相互関連しあっています。貧困が児童労働や非識字、紛争などの原因になっていることは確か。しかし反対に、それらが貧困を存続させる要因にもなっています。現代のような情報社会において、知識や質の高い情報を持っているどうかがよりよい人生を送れるか、よい仕事に就けるか、などの重要な鍵となるわけです。その意味で、教育、特に子どもたちへの教育は非常に重要でと考えています。特に貧困問題を考える時には、貧しい人たちに知識をつけること、そしてさまざまな意味で力をつけること(エンパワメント)が最も重要です」(カイラシュ・サティヤルティ)

カイラシュさんは、1980年代後半に、インド、パキスタン、ネパールなどから欧米に輸出される手縫いのカーペットに児童労働によって作られていないことを示すラベル「ラグマーク」をつける運動を始めました。他にも、カカオ栽培における児童労働を防止するための取り組みを菓子業界やILOなどを巻き込んで進めるなど、早くから企業倫理に基づく企業活動の推進を呼びかけてきました。これらはCSR活動の先駆的なものとも言えるでしょう。

そんなカイラシュさんやスマンくんから、直接話しを聞くことができるイベントがいくつも計画されています。6月12日は児童労働反対の意思表示をする「児童労働反対世界デー」です。現場の、現地の生の声を聞ける貴重な機会です。一緒に世界の子どもたちに思いをはせ、児童労働に「NO!」という声を、世界に届けましょう!

映画上映会&インドの活動家と子どもとのトーク

日 時:2006年6月11日(日)12:15~15:00
場 所:国連大学UNハウス3階 ウ・タント国際会議場
    東京都渋谷区神宮前5-53-70(表参道駅から徒歩5分、渋谷駅から徒歩8分)
参加費:無料

映画「僕たちも学びたい~貧困と闘う子ども労働者たち」上映

原題「Stolen Childhoods」レン・モリス監督、2004年

インド、インドネシア、ブラジル、ケニア、アメリカなど8カ国の児童労働の現状と子どもたちや活動家などの声を収録。カイラシュ・サティヤルティ氏、2004年度ノーベル平和賞受賞のワンガリ・マータイ氏などが登場。

http://www.stolenchildhoods.org

映画上映後、渋谷~表参道をウォーク!

日時:2006年6月11日(日)15:30~17:30(雨天決行)

場所:集合・15:15 子どもの城(渋谷区神宮前5-53-1)
   解散・17:30 宮下公園(渋谷区神宮前6-20-10)

大阪ウォークでも児童労働に反対するウォークを実施!

日時:2006年6月11日(日)15:30~17:30(雨天決行)
場所:集合・中之島公園(15:00~15:30)
ルート:中之島公園→御堂筋を南下→城東区 小森ビル周辺にて解散
主催:フリー・ザ・チルドレン・ジャパン
   国際子ども権利センター関西事務所

これらのイベントは、「なくそう!世界の児童労働」キャンペーンの賛同イベントです。

  • Pocket
    LINEで送る

  • カテゴリー:お知らせ
  • 投稿日:2006.06.10