支援を始めてわかった人身売買の実態 | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

幸せへのチョコレート

支援を始めてわかった人身売買の実態

Pocket
LINEで送る

ガーナのカカオ生産地域で児童労働をなくし、子どもたちが学校へ通えるように支援を行う「スマイル・ガーナ プロジェクト」をはじめてから、頭の痛い問題も見つかっています。

それは、子どもの人身売買です。ガーナ政府の公式見解では、カカオの生産地域では子どもの人身売買はないことになっています。このあたりは、かなりセンシティブな問題で、実際には政府も現状を把握しきれていないのが実情です。実際には、私たちが活動している村では4人の男の子たちが、ガーナ国内の他の地域からお金で買われる形で連れてこられ、労働者として働かされていることがわかりました。

ガーナ国内の他の地域から連れてこられた子どもたち

炎天下の中一日中牛の放牧をさせられている人身売買で連れてこられた二人

人身売買で連れてこられた2人の子ども

エマヌエルとステファン(仮名)は年齢が10歳前後(年齢を聞いても本人たちは答えられませんでした)の男の子で、ガーナ北部の親元を離れ、カカオ生産と牧畜で生計を立てる小作農家の労働者として暮らしています。この家の子どもは学校に通っていますが、ふたりは学校へ行くことは許されず、私が会った日には、この農家が所有する牛10頭ほどの放牧を行っていました。

話を聞くと、朝食をとったきりで、炎天下の中、一日中牛を連れて歩き続けていたとのこと。お腹を空かせていました。自分の体よりも何倍も大きい牛はコントロールするのが難しく、襲われる危険性も高いので、とても危ない労働といえます。

人身売買の被害にあった子どもたちへの対応としては、子どもをまずは安全な場所に保護し、最低限の衣食住を確保することが最優先となります。また、一方的に雇い主のいいなりになるような扱いを受けてきているので(時には暴力や虐待を受けている可能性も)、子どもたちの心理的なカウンセリングや教育を受けるためのリハビリも必要です。さらに、最終的には家族の元に帰ることが目標になるので、家族の居場所を突き止めて連絡をとり(たいてい遠く離れた別の州で探すだけでも困難です)、家族を説得するなど、やらなければならないことは多岐にわたります。

また、国際法およびガーナの国内法に照らしても人身売買は違法ですから、法に基づいて雇い主を捕まえ、裁くなどの対応も必要となります。

支援をはじめて分かった人身売買の実態

ガーナの北部から人身売買で連れてこられた子どもたち

炎天下の中、一日中働かされていました

人身売買の被害にあった子どもたちの存在は、活動を始める前の調査では把握しきれていませんでした。やはり地域に入り込まなければわからない問題があるのだなあと感じています。昨年は当初計画した活動では十分な対応を取ることができなかったため、今年は、現地パートナー団体の現地スタッフと入念な打ち合わせをし、迅速な対応がとれるよう、体制を整えていきます。

そのため、当初想定していた以上の予算がかかることもわかりました。危険にさらされている子どもたちを守るためには必要なことです。人身売買によって連れてこられた子どもたちの支援も行っていくことを考えると、活動資金は十分とはいえません。

これまで以上に、より一層力を入れて活動資金を集めていかなければななりません。ぜひ、みなさんのご協力も、どうぞよろしくお願いいたします。

報告:事務局長 白木 朋子

世界の子どもの笑顔のため、世界を変える小さな一歩を。

寄付をする

  • Pocket
    LINEで送る

  • カテゴリー:子ども・若者支援
  • 投稿日:2010.02.11