お父さんと妹を亡くしたアリナちゃん(インド)
2014年4月から新たに活動をはじめたインド・テランガナ州の村で暮らすアルナちゃん(仮名/13歳)を紹介します。
借金を返すために学校を中退
アルナちゃんは、2013年まで政府の無料宿舎に住みながら近くの公立中学校へ通っていましたが、今はコットン畑で働いています。一年前にお父さんを突然死で、ほぼ同じ時期に妹も病気で亡くし、残されたのはお母さんとアルナちゃんの2人だけ。2年前に5万ルピー(約10万円)の借金をして新しい家を建てたばかりで、まだ借金は返済できていません。
土地を持っていないため、お母さんは日雇労働で毎日仕事を探して働いています。しかし、借金には利息がつくため、一人だけでは返すことができず、アルナちゃんも働くことになりました。貯金することもできません。
お母さんは「去年は途方にくれ、どうしたらよいか分かりませんでした。新しい家はできたけれど、2人だけで暮らすのは不安なので、今は親戚の家に住まわせてもらっています。娘をせっかく宿舎に入れることができたけど仕方ありません。」
「本当は勉強し続けたい」
アルナちゃんが暮らしていた宿舎は、貧困家庭の指定カーストを対象にした社会福祉局の無料施設でした。生活し続けていれば、無料で高校まで進学できました。
- (*)指定カーストとは
- インド憲法に基づき、州や地域ごとに指定された諸カースト(不可触民)の総称で、公式には指定カースト(スケジュールド・カースト:scheduled caste)と呼ぶ。インド憲法では、カーストによる差別と「不可触民」を意味する差別用語は禁止されている。しかし、カースト差別は根深いため、指定カーストに対しは、学校入学や奨学金制度の適用、公共機関や施設が一定割合で優先的に雇用機会を与えるなど、待遇の改善が図られている。
コットン畑での仕事についてアルナちゃんは「日差しが強くて暑い中、畑で働くのはとても大変。畑に何度もまかれる農薬のスプレーのせいで、頭が痛くなったり吐き気がしたりします。」と言います。
「アルナちゃんは、どうしたいと思っているの?」と聞くと、それまでおとなしかったアルナちゃんは「本当は勉強し続けたい」とはっきりと言いました。アルナちゃん自身の心の叫びで、村には仲の良い友達がいて、その子と一緒に村の公立学校へ通いたいそうです。
児童労働から抜け出し学校へ通えうために必要な「貯金」
アルナちゃんが再び学校へ通えるようにするためにはどうしたらよいか、現地スタッフや親戚、近所の住民で話し合いました。お母さんは、女性自助グループに入り、毎月50ルピー(約100円)定期的に貯金しているそうです。「仕事がない時は大変だけど何とか貯めて、グループからお金を借りれるようになりたいんです」と言います。
コットン生産地域で日雇いで働く人たちの多くは、貯金や貯蓄をすることができません。そのため、突然の病気や不慮の事態が起こると、借金をしてその場はなんとかしますが、利息の返済で精一杯で、貧困から抜け出すことができないのです。
夫を亡くした寡婦への社会保障金(Widow Pension)が政府から支給されていますが、1ヶ月当り200ルピー(約400円)だけ。これだけでは生活は安定しません。他にも政府からの支援策がないのか話し合いましたが、どれも機能していないなど、なかなか良い案が思い当たりません。
ACEがインドのコットン生産地域で実施している「ピース・インド プロジェクト」では、困窮した家庭の親を対象に収入向上支援を行う予定で、アルナちゃんのお母さんも支援対象に入れようと話し合っています。
村では、親が一人しかいない、病気やケガで働けない、土地がないなどの理由で親が日雇労働で働いていることが多く、家計は安定せず、子どもたちも教育を受けられずおとなと一緒に働いています。子どもとその家族の状況をしっかり把握して、一緒に改善策を探していきたいと思います。
報告:ACE子ども支援事業インド担当 成田由香子
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アルナちゃんのように、遊んだり、勉強したいと思いながらもそれが叶わず、おとなと同じように働いている子どもがいます。
ACEでは2016年5月から8月末まで、「そのこ」の未来キャンペーンを実施中です。このキャンペーンでは、私たちACEが児童労働のない社会を実現するため活動資金を集めることを目的とし、みなさまからのご寄付を募っています。あなたも「そのこ」の未来キャンペーンに参加し、一緒に児童労働のない未来をつくる一員になってください。
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- カテゴリー:子どものエピソード
- 投稿日:2014.07.14