【ガーナ便り】おとなが健康的に働けるよう健康診断を実施
こんにちは、ACE ガーナ・プロジェクトマネージャーの近藤です。
2015年2月14日から4月10日にかけて、クラウドファンディングサイト「READYFOR?」で支援を募っていた「健康診断と健康ワークショップ」を、6月8日と10日に、ACEが支援するガーナのカカオ生産地域で開催しました。
子どもが働くのではなく、おとなが健康的に働けるように
ガーナは連日の大雨に見舞われ、健康診断を開催できるか心配でしたが、健康診断当日は、快晴で、無事に健康診断を実施できました。
今回の健康診断では、合計219人に検査を受けてもらいました。検査を受けた人のほとんどは初めての経験で、最初は不安な様子でしたが、みな口々に受けられてよかったと言ってくれました。
健康診断では、血圧や体温測定、マラリア検査、尿検査、そして問診を行いました。特に熱がある人には必ずマラリア検査を受けてもらい、「陽性」と判断された人には薬を処方し、再度クリニックに来るように伝えました。
また、今回の問診では、腰痛、頭痛、手足の痛みなどを訴える人に、その原因と対処法を伝えることもできました。特にカカオ栽培は重労働で、おとなでも相当な負担があります。これをさらに体力の弱い子どもが行うと、その影響はさらに深刻にくなることでしょう。改めてカカオ栽培における児童労働がいかに危険であるかを思い知りました。
健康ワークショップで健康保険への加入を促進
健康ワークショップでは、マラリアの危険性やクリニックを使うことの重要性、そして健康保険に入ることの重要性について紹介しました。特に、健康保険への加入は、貧しい人たちにとってとても有意義なことです。多くの人は、医療費への負担を恐れて病院や診療所に行こうとしません。健康保険に加入することで、医療費の負担が下がり、診察や治療を受けることへの心理的な負担を軽くすることができます。進んで病院や診療所へ行くことで、大きな病気や重い後遺症を未然に防ぐことが期待されます。
目標を超えて集まった支援金で村に救急箱を設置
今回「READYFOR?」を通じて、目標より42万円も多くご支援をいただきました。目標より多く集まった支援金の使い道をガーナのパートナーNGO「CRADA」のスタッフと相談したところ「救急箱を各村の学校に置いて欲しい」という要望があり、救急箱を寄贈することにしました。
現在、ACEが支援している4つの村のうち、2つの村には診療所がありません。この2つの村の学校に救急箱を置き、ケガや病気が起こったら、その薬品を使えるようにしました。
村の小学校に救急箱を置き、先生の中から救急箱の担当者を決め、責任を持って管理することになりました。救急箱を寄贈できたのも、READYFOR?を通じて応援してくださったみなさんのおかげです。
薬を使うことで、簡単な病気やけがを治すだけでなく、より重症な場合でも、一時的に症状を抑えることで、診療所に行くまでに手遅れになるリスクを減らすこともできます。救急箱は各村で責任者を決め、その人が適切に管理することになりました。
救急箱の購入費の他、目標を超えて集まった支援金は健康診断やワークショップ実施後のフォローアップ費用、現地パートナーNGOのスタッフによる健康保険加入の啓発活動、日本からのスタッフ渡航費などに活用させていただきます。
健康診断を受けた住民の声
今回、健康診断を受けた人の多くが、初めて健康診断を受けたらしく、とても刺激的だったと言っています。
「健康の重要性が分かった」、「自分の体調不良の原因がわかって安心した」などのコメントもありましたが、特に印象に残ったのは「健康診断を通じて、クリニックや病院というものが信頼できるものだとわかった」というコメントでした。
実は、多くの人が健康診断はおろか、病院や診療所に行ったことがなかったそうです。その理由は、病院や診療所が本当に信頼できるのか不安だったから。
今回、健康診断を受けたアコシアさんは「看護師や検査する人はみんな親切で、とてもよかった。診療所がとても身近に感じることができた」と言って喜んでいました。病院や診療所に対していただいているイメージが大きく変わったようです。
また、今回診断に関わった看護師も「これまでは診療所に来てほしいと呼び掛けても、なかなか来てくれる人がいなかった。わたしたちをどこか恐れているようだった。今回をきっかけに、もっと私たちを信頼してほしい」と訴えていました。
ガーナのカカオ生産地で児童労働をなくすために
今回、なぜ健康診断を実施したかというと、児童労働をなくすためには、おとなが健康的に働ける環境をつくることが大切だからです。ガーナでは、カカオ農園での労働に100万人以上の子どもが何かしらの作業に従事していると言われています。その背景には、地域の医療環境が整っておらず、おとなが健康を害し、子どもたちが働かざるを得ないという事情があります。
医者一人が診る人数を日本とガーナで比べると、日本は1人の医者が500人を診ているのに対し、ガーナでは医者1人あたり10,000人を診ている計算になります。(出所:世界保健機構(WHO)より:日本は2013年統計、ガーナは2010年統計)
身体の小さな頃からカカオ農園で働くことで健康を害し、おとなになって働けなくなることも多くあります。働けなくなったおとなの代わりに子どもが働き、新たな児童労働を生み出す「負のサイクル」になっています。そんな「負のサイクル」を断ち切るため、今回、健康診断とワークショップを行いました。
おとなが健康的に働けるようになれば、子どもたちが働く必要はなくなり、教育を受ける機会が広がり、子どもたちが安心して暮らせる社会につながっていくはずです。この健康診断とワークショップを通じて、多くの人々が医療の大切さを知り、医療への信頼を得ることができました。今後もより多くの人に医療の大切さを伝え、医療が信頼されるよう働きかけてまいります。
報告:ACE ガーナ・プロジェクトマネージャー 近藤 光
8/16(日)ガーナ「プロジェクト報告会」を開催
今回、ガーナで実施した健康診断や健康ワークショップと、ガーナのカカオ生産地の現状について詳しくご報告する「ガーナ報告会」を、2015年8月16日(日)東京のJICA地球ひろばで開催します。ぜひ報告会にもご参加ください。
詳細やお申込みはコチラから
ガーナで健康診断!健康と児童労働について考えよう in ガーナ報告会(8/16)
おとなたちが健康に関する知識を身につけ、健康的に働ける環境をつくるため、引き続きご支援・ご協力のほど、よろしくお願いします。
ガーナの子どもたちを笑顔にするために
応援よろしくお願いします!
- カテゴリー:子ども・若者支援
- 投稿日:2015.06.16