消費者教育実践セミナー「このTシャツはどこからくるの?」2017 開催報告
消費者教育実践セミナー「このTシャツはどこからくるの?」2017 開催報告
2017年7月28日(金)、銀座にて『消費者教育実践セミナー 「このTシャツはどこからくるの?」2017 』を開催しました。 まずは参加者のみなさんにACEのオリジナルワークショップ教材「このTシャツはどこからくるの?」を体験していただき、その後体験した教材をどこで・どのように活用していくかを考える「授業案作成ワーク」を行いました。
教育の現場や消費生活センターなどで消費者教育を、人に伝えることがある方向けに行ったセミナーでしたが、当日は「教える・伝える」立場の方だけではなく、「教わる」立場である学生まで幅広くお越しくださいました。
ワークショップ「このTシャツはどこからくるの?」を体験
ACEのオリジナル教材である「このTシャツはどこからくるの?」は、日本の子どもや消費者、企業等が、生活に身近なコットン製品を通じて「インドのコットン生産現場の児童労働」について考え、問題解決に向けた行動を起こすきっかけづくりを目的としたワークショップ教材です。コットンが製品になって消費者の手元に届くまでの過程を学ぶ「並び替えパズル」や、インドのコットン畑で働く子どもや中国の縫製工場の社長などになりきって現状を学ぶ「ロールプレイ」などのワークショップで楽しみながら学べます。
参加者の方々が伝える現場で実際に実施することを想定しACEスタッフの杉山から、経験を踏まえたワークショップ中の参加者のひきつけ方や、わかりやすい伝え方も解説することで、より実践的なものになりました。
また、参加者もワークショップを楽しみながら「インドの児童労働の現状」を学ぶことができたようで、「児童労働をなくすために」自分たちに何ができるかを真剣に討論していました。
現地の解説、事例紹介
ワークショップの後はインド事業担当の田柳から、より詳しいインドの児童労働の解説とACEの「ピースインドプロジェクト」の活動についてお伝えしました。
またこれまで実際に学校の先生が、児童労働を授業で取り上げた例やACEの教材をアレンジして授業で活用した例も紹介し、より具体的な授業イメージをもっていただけたかと思います。 中でも、田柳の「気づきが行動を起こす要因となる」という言葉が参加者の印象に残ったようでした。
今後の具体的な活動についての「授業案作成ワーク」
セミナーの最後はグループに分かれて、実際にどのような授業が組み立てられるかを考える「授業案作成ワーク」を行いました。 授業の「ねらい」もグループごとで違った視点のものとなり、どうしたら受講者(または生徒)に伝わりやすいのかを考えた、趣向を凝らしたものになりました。 具体的な手法の案としては、「実際に綿を紡ぐ作業や、重い水がめなどを持つ体験をしてもらい児童労働の大変さを実感してもらう」や「衣服を持ち寄ってタグを見て、原材料と原産国を知ってもらう」などが出ていました。
また、今回は中高生の参加者も来ていたため、教員グループがつくった授業案を評価したり、アドバイスする場面が見られました。
【中高生からの意見】
・座ってただ聞くという授業が多いので、実物に見たり触れたり、児童労働をしている子ども達がどれだけ苦労しているかを身体で体験できるのはいい。
・ロールプレイでは役になりきって主観的に考えられることで、自分が思ってこなかった消費者としての気持ちや想いが芽生えた。
・単語は難しいものがあるので、簡単にしてほしい。
日頃、「どのような消費者教育の授業をしたらいいのかわからない」、「フェアトレードなどをもっとわかりやすく説明したい」と悩んでいる方々にとって、伝える上でのヒントを持ち帰っていただけたように思えます。これを機会に、児童労働の問題を授業やセミナーなどで伝え、解決のための行動をとる人を増やす仲間になっていただければ幸いです。
【今回の参加者の感想(一部)】
・自分の意見を持って自分の言葉で発信できる人を育てたいという想いがある。教えて、発信できるのは生徒たち。「気づきが行動を起こす要因」となれたら。
・今の子どもたちはSNSというものがあり、それを授業で使うことでもっと拡散できるという可能性が知れた。
(報告:宇留賀いくみ)
※ このセミナーは、独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて開催されました。
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2017.09.08