【NGO共同声明】国に対し、新型コロナウイルスについて 国際人権基準に基づく対応を求める

【NGO共同声明】国に対し、新型コロナウイルスについて 国際人権基準に基づく対応を求める

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新型コロナウイルス (COVID-19)によって世界中で多くの人が命を失い、多くの人が病と闘っています。このような感染症は、子ども、女性、性的マイノリティ、高齢者、障がい者、移民、難民、HIVと生きる人、非正規労働者など、社会で弱い立場にいる人により大きな影響を与えます。

子どもたちは、休校や行動制限により、学校、地域社会、親戚、友人などから断絶され、日常と大きく異なる生活を余儀なくされています。養育者の死亡や収入減などで経済状況が厳しくなると、児童労働や児童婚のリスクが高まります。さまざまなストレスにさらされている家族から暴力を受けるリスクも増す可能性があります。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、社会的・経済的影響が拡大しているなか、政府はより一層の対策を講じる必要があると考えます。そこで、ACEは人権に取り組んでいる他団体と共に、「国に対して新型コロナウイルスについて国際人権基準に基づく対応を求める共同声明」に賛同しました。

NGO共同声明の全文はこちらから(PDF)
NGO共同声明

 

 

 

 


国際人権基準に則り、以下の10項目の実施を求めています。

1. 個人の尊厳、健康の権利および最低限の生活を全ての人に保障するために、あらゆる措置を講じてください。

2. 新型コロナウイルスに関連する差別や偏見は一切許容しないと明確な意思表示をしてください。同時に、新型コロナウイルス拡大に伴う様々な人権侵害 の実態を調査し、対応策を検討・実施してください。

3. 新型コロナウイルスの対策に際して、意思決定への参加を含む意義のある参加を、社会で取り残されている人たちを含む全ての人たちと、市民社会組織に保障してください。

4. 多言語や手話、字幕・音声による情報伝達を含む情報保障を確保し、全ての人に正確な情報が迅速に伝わるようにしてください。

5. 刑務所、拘置所、留置場などの刑事施設や入管収容施設、また乳児院や児童 養護施設、精神科の閉鎖病棟などで、密集を緩和して物理的距離をとることを可能にするため、収容人数を減らすことも含め、あらゆる必要な措置をとってください。

6. 自宅にいることによって増加する、子どもや女性、障害者、高齢者などに対する家庭での暴力の被害者を支援するために十分な資源を投入してください。

7. 医療従事者に適切な防護具を十分提供するとともに、公共交通機関、食料日用品店、配達、倉庫、刑務所、在宅ケアなど必要不可欠な職で働く従業員のために新型コロナウイルスに対する適切な予防措置や検査へのアクセスを確保してください。

8. 新型コロナウイルスへの対応として、表現の自由、報道の自由やプライバシーなど基本的な人権に対する過度な制約措置が取られないよう徹底してください。デジタル監視技術を使用する場合には、合法性、必要性、比例性、限定期間のみという基本的な原則をふまえ、かつ、4月に世界100以上の市民社 会団体が打ち出したデジタル監視の8つの条件を満たして下さい。

9. 個人に紐づけられる情報は公開することなく、性別や年齢など細分化された、新型コロナウイルスに関するデータをジャーナリストや研究者に制限なく広く開示してください。

10. すでに社会で脆弱な立場にある人々への新型コロナウイルスの影響はより深刻であることを認識し、その影響を緩和するために必要な措置を取ってください。


新型コロナウイルスによって、児童労働を含む子どもの権利侵害が深刻化するのではないかと懸念されます。国際労働機関(ILO)は、今年の児童労働反対世界デー(6月12日)のテーマを新型コロナウイルスによる児童労働への影響と発表しました。

ACEが事務局を務めている児童労働ネットワーク(CL-Net:Child Labour Network)は、6月1日から20日まで、「ストップ!児童労働キャンペーン2020」を展開します。厳しい社会・経済状況ではありますが、児童労働が増えることがないように活動していきます。

これからも、みなさまのご支援・ご協力をよろしくお願いします。

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  • カテゴリー:お知らせ
  • 投稿日:2020.05.19