【ガーナ便り】活動期間を再延長。コロナの影響を最小限にするために | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

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【ガーナ便り】活動期間を再延長。コロナの影響を最小限にするために

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みなさん、こんにちは。ガーナ担当スタッフの赤堀友希です。今年も残すところあと2か月となりました。今年は、新型コロナウイルスの感染が続く中でできることを、村の住民や現地パートナー団体と模索してきた一年だったと感じています。日本では新規感染者が減少傾向にありますが、ガーナでも今年7~8月にかけて発生していた第三波が収まってきています。

フォローアップ期間を設け、給食支援・収入向上支援などを行います

ACEでは9月から新たな事業年度となり、スマイル・ガーナ プロジェクトでも新たな年度に向けての計画を立てました。現在の支援地(2村)での活動は2018年2月から開始し、本来は2020年8月に終了している予定だったのですが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う村への影響が大きく、活動期間を延長していました。

主な影響としては、2020年3月末から2021年1月までの約9カ月間小学校が閉鎖されたこと、小学校の閉鎖期間中に62人の子どもがカカオ畑などでの児童労働に従事していることが確認されたこと、青空市場の一時的な閉鎖により農家さんの現金収入が減少したこと、そして、郡の関係機関と村の住民の代表が一緒に作成した子ども保護に関する地域条例の公布が遅れたことなどがあります。

現在、小学校は再開され、休校期間中に児童労働をしていた子どもたちも全員学校に戻っていますが、感染拡大防止のために学校での滞在時間を4時間までとする規制が設けられています。また、青空市場は再開されてきたものの、子どもたちの保護者を含む村の農家さんたちの現金収入は、コロナ前の水準には戻っていないようです。

このためプロジェクトでは、パートナーNGOのCRADAとの協議の結果、2021年9月から2022年4月までの8か月間のフォローアップ期間を設けることにしました。フォローアップ期間では、子ども保護委員会(CCPC: Community Child Protection Committee、コミュニティの見回り活動を行うための住民ボランティア組織)の活動のフォローアップ、学習環境の改善に関する継続支援(給食支援や、条件が許せば補習授業)、農家さんの副収入の向上に関する継続支援、そして、子ども保護に関する地域条例が公布された後の、村での普及活動を実施する計画です。

フォローアップ期間を設けることで、子どもや村の住民が新型コロナウイルスによって受けたダメージを少しでも軽減させること、そして、CCPCなどの住民組織を中心とした、村の住民による児童労働の撤廃や、子どもの権利の保護に向けた仕組みが持続可能なものになっているかの最終確認をしようと考えています。

また、プロジェクトの当初の計画には含まれてはいませんでしたが、ガーナ政府が推し進める「児童労働のない地域(CLFZ: Child Labour Free Zone)」の認定の際に必要なコミュニティの住民登録(Community Register)もフォローアップ期間中に実施し、CLFZの認定条件を満たす環境を整備する予定です。

現地パートナー団体による教員へのヒアリング

学校給食の運営方法について話し合うCCPC、学校運営委員会(SMC)、PTAのメンバーたち

コジョさんへのインタビュー

インタビューに答えるコジョ

支援地で暮らすコジョさん(仮名/10歳)は、7人兄弟の一番下の男の子。お父さんは出稼ぎをしているので、普段はお母さんと兄弟の8人で生活しています。児童労働の経験はありませんが、コロナ禍で経済的に困窮してしまい、このままだと児童労働をしてしまう可能性が高いと考えられたため、プロジェクトで学用品を無料支給し支援しています。

コジョさんはオンラインインタビューの際、以下のように答えてくれました。
「コロナ禍で学校が休校していた時は、電気がなくて家で勉強ができなかったから、悲しかった。​」
「学校が再開して、勉強できるし、給食もあるから、とっても嬉しい。​」
「好きな教科は算数。将来は学校の先生になりたい。先生は沢山のことを教えてくれて、凄いなって思うから。」
「プロジェクトが始まって、学校で子どもの権利を学んだことや、学用品を支給してもらえるようになったことが、僕の生活の中での一番の変化だよ。」

コジョさんのように、ようやく通学を再開でき、学びや給食、友達との時間を楽しめるようになった子どもたち。プロジェクトでは、子どもたちがこれからも安定して学び続けられる環境を整えていきます。

課題は、9カ月間の休校による学習の遅れを取り戻すこと

前述の通り、約9か月間(2020年3月末から2021年1月中旬まで)の学校閉鎖があり、その期間分の教育機会が失われたことをどのようにカバーするかが、ガーナの教育分野での課題となっていると感じています。

2020年3月末に学校閉鎖になってから、子どもたちは各家庭で学習を継続することを強いられました。しかし支援地の村では親が学校に行ったことのない家庭も多く、そいった場合は子どもたちの学習をサポートすることが困難です。学校の閉鎖中、ガーナ教育局は、テレビやラジオ、オンラインで授業を配信していましたが、支援地では電気がなく、インターネットも行き届いておらず、子どもたちはこれらの授業配信にアクセスできませんでした。

2021年1月中旬に小学校が再開されると、子どもたちの学年は、自動的に、学校閉鎖前の学年より一学年上がり、1月から新しい学年での一学期が始まりました。ガーナの学校は通常、9月から新しい学年が始まるのですが、昨年9月は学校閉鎖中だったため、今回このような対応が取られました。このため、学習内容やカリキュラムが大幅に変わってしまい、子どもたちは学習に困難を感じています。(ガーナ教育局は、学年は自動的に繰り上がるものの、学校閉鎖時に学習していた内容から再度授業を再開して、それが終わったら新しい学年の学習内容に取り組むと説明していますが、支援地の学校では、新たな学年の学習内容からの開始となっています。)

これに加えて、学校での滞在時間の制限があり、学校で十分な学習時間が持てない状況が続いています。このような中で、どのように9か月分の学習の遅れを取り戻すのか、教育局から明確な方針は確認できていません。プロジェクトでは、条件が許せば補習授業を行いたいと考えていますが、感染対策から学校にいる時間を制限することを理由に郡の教育局からの承認が下りない状態が続いています。

このように困難な状況は続いていますが、村の住民と現地パートナー団体と共に、残りのフォローアップ期間でできることを着実に続けていきます。引き続き応援いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

ガーナ担当 赤堀 友希

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2021.11.17