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【ガーナ便り】児童労働フリーゾーン認定に向け一歩前進。プロジェクト実施地の村で、世帯登録をサポートしました

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みなさん、こんにちは!いつもACEの活動への温かいご支援をいただき、ありがとうございます。ガーナ担当スタッフの近藤です。

今回は、児童労働の実態を把握するためにも大切な「世帯登録」についてお伝えします。

ガーナでは「児童労働フリーゾーン(児童労働のない地域)(Child Labour Free Zone、以下CLFZ)」と呼ばれる政府認定の地域を作るためのガイドラインが制定されており、その作成にACEもかかわってきました。ガイドラインは2020年に完成し、その後ACEはJICAの調査事業*を通じて、実際にガイドラインが機能するかをテストする試みを行いました。

ガイドラインには児童労働のない地域を作るための要件がまとめられており、その要件を満たすことが、CLFZとして政府の認定を受けるために必要となります。ACEがスマイル・ガーナプロジェクトを実施してきた地域では、ガイドラインに定められた要件のほとんどをだいたいクリアしている状態ですが、唯一まだ実施できていないことがありました。それが、各村で住民の世帯登録(Community Register)を実施することです。

村単位で住民の情報を把握するための世帯登録

世帯登録作業の写真
世帯登録作業の様子

世帯登録とは、コミュニティレベルで児童労働の有無を把握し解決するためにガーナ政府が作った「児童労働モニタリングシステム(GCLMS)」の一部をなすものです。コミュニティの住民情報を世帯ごとに収集し、データベース上に記録し、管理します。
世帯登録を通じて、各家庭の子どもの有無や就学状況を確かめることによって、児童労働をしている子どもやそのリスクのある子どもを把握することを目的としています。
児童労働の有無を可能な限り正確に把握するために、また将来的にCLFZの認定を受けられるようになるために、現在活動する2村で世帯登録を実施することにしました。

調査・登録作業をスタート

当初は紙ベースでの登録を予定していましたが、ガーナ政府は現在、データベースのオンライン化を進めている最中であるため、政府の方針に従いタブレットを使用して世帯データのオンライン登録を行いました。

登録作業は、以下のような手順で行われました。

1.情報収集を行う調査員の選定
長老会、住民ボランティア(CCPC)などとの話し合いで、村で実際に調査(情報収集)を行う人々を選定しました。話し合いの中では、データの把握・登録作業を通じて児童労働の実態の把握や効果的な予防策を立案しやすくなること、さらには村の開発プランなども効果的に立てやすくなることも説明しました。

ミーティングの写真
長老会、住民ボランティアの関係者とのミーティング

2.調査員へのトレーニングの実施
上記の話し合いで選定された、調査員に対するトレーニングを実施しました。ダブルカウントの防ぎかた、調査ルートの選定など、ガーナのような人口流動性の高い農村での調査は訓練が必要であり、そのためのトレーニングです。また、情報収集に使う質問票の内容について理解を深め、適切な答えを得るための質問の仕方などについても訓練をしました。 村落部での調査の経験があるパートナー団体のスタッフが講師役となりました。

3.村での世帯訪問と聞き取り
現地パートナー団体のスタッフとトレーニングを受けた村の調査員が、村の各家庭を訪問し、家族構成、居住期間、職業、子どもの就学状況、生活状況などを、質問票の項目に沿って聞き取りました。

聞き取り調査の写真
住民への聞き取り調査の様子

4.データ入力
家庭訪問による聞き取り調査で得たデータを、オンラインソフトに入力しました。

データ入力の様子の写真
タブレットを使用してデータ入力を行う

世帯登録を通して見えてきたもの

世帯登録の結果、2村での児童労働はゼロ、ただし1村では幼稚園~小学校の就学率(幼稚園~小学校の就学年齢の子どもの人口のうち、学校に就学している子どもの数)は76%と、プロジェクトで把握している状況とは異なることがわかりました。この点については現地パートナー団体と協議し、その要因の確認と、これらの子どもたちのフォロワーアップをどのようにすべきかについて検討していきます。

また、データ入手のための調査は苦難の連続でした。実施された5月から6月はちょうど雨季に当たり、強い雨に何度も遭遇しました。中にはとても道路状況が悪い地域もありました。村全体をくまなく回って調査を行ったことで、インフラが整備されていない場所が多くあるなど、村の状況を改めて確認することができました。

村のインフラの写真
いまだインフラが整備されていない場所が多くある

今後CLFZが本格的に全国に広がっていくためには、世帯登録も全国的に実施される必要があります。今回私たちが実施したことで見えてきた課題や教訓が他の地域でも生かされるように、ガーナ政府にも働きかけていきたいと思います。

*JICAの調査事業についてはこちらをご覧ください。

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2022.09.22