【報告】「身近な問題だと感じられた」ACEの講師派遣活動を子どもたちの感想とともにご紹介
【報告】「身近な問題だと感じられた」ACEの講師派遣活動を子どもたちの感想とともにご紹介
ACEの啓発・市民参加事業では、スタッフを講師として派遣し授業等で児童労働やACEの活動についてのお話しをする「講師派遣」の活動を行っています。(ソーシャルビジネス推進事業では、企業・法人向け講師派遣を行っています。)
今回は、学校から依頼をいただいて実施した講師派遣の様子を2つご紹介します。
児童労働講義×子どもの権利ワークショップ
2022年11月に筑波大学附属高等学校よりご依頼をいただき、国際協力に関心を持つ高校1年生のみなさんに「児童労働と子どもの権利」をテーマに、啓発・市民参加事業チーフの田柳がお話ししました。
インドで出会った子どもたちとの実体験
前半は児童労働の現状とACEの活動にフォーカスし、前インドプロジェクト・マネージャーとして主にインドのコットン生産地の児童労働の様子や子どもたちを取り巻く環境・活動を中心にお伝えしました。
児童労働の原因といえば「貧困」が思い浮かびますが、多くの場合原因は1つではなく、現地の学校環境や家庭や地域住民の意識の問題など、複数の課題が積み重なって子どもが働く状況が起きています。実際に田柳がインドで児童労働をしている子どもや保護者から聞かせてもらった話を紹介して、実態をお伝えしました。
また、私たちが日常で使う製品の原材料を作るインドやガーナの地域で起こる貧困には、日本を含む先進国のビジネスや経済が深く関係しています。安いものを求めるビジネスや経済が児童労働につながっている可能性があるからです。児童労働が起きている地域の活動だけでは児童労働をなくすことはできないため、ACEが日本で企業、行政、市民に対して働きかけている活動内容についてもご紹介しました。
授業を受けた生徒からは「実体験を聞くことができたので児童労働というあまり実感の湧かないテーマとしてではなく、身近な問題だと感じられた」、「現状をリアルに聞けたのでずっと気になっていた児童労働改善の流れが知れた」、「私たちができる具体的な取り組みを紹介してもらえた」などの感想が出ました。
自分の感情に耳をかたむけるワークから子どもの権利を考える
ACEは「子ども・若者が自らの意志で、人生や社会を築くことができる世界をつくる」ために、子ども・若者の権利を奪う社会課題の1つである児童労働の解決を目指しています。そのような世界の実現には、子どもの権利が守られていることが重要であると考えています。
後半は、テーマを「子どもの権利」に移し、日本の子ども・若者が自身の子どもの権利を実感したり守ったりできるようになるために現在ACEが制作中のプログラムの一部を体験してもらいました。
具体的には、権利を守ることにつながる「自分が持つ大切な願い」に気づけるよう、NVC(非暴力コミュニケーション:Nonviolent Communication)の手法を用いて、感情やニーズに注目してみるワークを行いました。具体的には、感情が動かされた出来事を思い出して、感情のリストからその時に自分の中に起きていた感情を自分で選んだり、他の人に起こった出来事の話を聞いてその人が感じていた感情や満たしたいニーズを提案したりました。制作中のワークのため講師も探り探りな部分がありましたが、参加した生徒が他の人から提案されたものを見て「自分では意識していなかったけど確かにそんなニーズもあったかも」と気づきを得る姿も見られました。
「自分自身で客観的に感情を考えると、実はこう思っていたんだなと発見して新鮮だった」、「感情の奥には求めていることが隠れているというのは、自分がネガティブな気分になったときに、自分を落ち着かせるための手段になりそうだと思った」という感想もあり、感情や願いとの向き合い方のヒントをお伝えできたかなと思います。
映画上映×チョコレートワークショップ
同じく2022年11月、東大阪市立新喜多中学校より「人権講演会」の講師としてお声がけいただき、全校生徒に向けて映画「バレンタイン一揆」の上映とワークショップ「おいしいチョコレートの真実」を実施してきました。
講師を担当した広報・ファンドレイズマネージャーの青井より、当日の様子をご報告します。
意外な答えに盛り上がった「チョコレートクイズ」
講演の導入では、チョコレートの原料であるカカオと日本の私たちとの関係について関心を持ってもらうため、「チョコレートクイズ」を実施しました。
「日本では、1年間に1人あたり板チョコ何枚分のチョコレートを食べているでしょうか?」「チョコレートの原料カカオの実はどれでしょう?(写真を選択)」「世界でもっとも多くのカカオ豆を生産している国はどこ?」という3つのクイズを通して、日本は世界でも有数のチョコレート消費大国であること、カカオは暑い国で生産されていること、日本に輸入されるカカオの約8割がガーナ産であることをお伝えしました。
3つ目の「世界でもっとも多くのカカオ豆を生産している国はどこ?」というクイズは、どこで出題しても「ガーナ」を選択する人がダントツで多いのですが、実はコートジボワールなのです(ガーナの生産量は世界第2位)。今回もほとんどの生徒さんたちが「ガーナ」に手を挙げていたので、正解をお伝えすると「えぇ~!?」と驚きの声があがっていました。
映画「バレンタイン一揆」上映
クイズの後は、ACE設立15周年を記念して2012年に製作した映画「バレンタイン一揆」を上映しました。バレンタインデーにフェアトレードでつくられた、ほんとうに愛のあるチョコレートを、日本のみんなに選んでほしい。そんな想いを胸に、ACEが活動するガーナのカカオ生産地を訪ね、児童労働の問題に出会い、悩み、闘った、日本の女の子たちの奮闘記です。
現在も全国で自主上映会が実施されており、ACEオンラインショップでは学校教育用DVDも販売しています。
詳しくはこちら:映画『バレンタイン一揆』学校教育用DVD
映画予告編はこちら:https://youtu.be/R5Qtd_ktdvk
ワークショップ「おいしいチョコレートの真実」体験
映画を試聴したあとは、ACEが制作・販売しているオリジナルワークショップ教材「おいしいチョコレートの真実」の中のグループワーク「お買い物ゲーム」の簡易版を実施しました。
3名ほどのグループに分かれて、ガーナのカカオ農家で小作人として働く「マハマ家」の家族になりきってもらい、貧困家庭の暮らしの実態を感じながら、限られたお金を何のために使うか(飲食費、教育費、衣服代など)をグループで考え、発表してもらいました。
このワークに「正解」はありません。「きれいな水がないと病気になってしまうから、水を買います」「教育は大事だから、学校に通っていないお姉ちゃんが学校に行けるよう教育費にします」「自己表現のために大事だから、服を買います」など、さまざまな意見がありました。
本来「お買い物ゲーム」では、日本とガーナの6つの家族に分かれてグループワークを行うのですが、今回は映画上映も行って時間が限られていたことから、マハマ家のみを体験してもらいました。
参加した生徒の感想の一部をご紹介します。
「自分が普段何げなく食べているチョコレートのカカオが作られるには、たくさんの人の苦労や思いがつまっているんだなと思いました。ガーナでは学校に行けない子供達なども働いてカカオを育てていると知って、これからは、チョコレートを食べるとき、感謝して食べようと思いました。」(1年生)
「子どもが働いている国があるというのは実感がわきません。けど、そんな方々のための『トレーサビリティ』のマークがあるものを買って、少しでも学校に行けたら良いなと思いました。私も、映画や話を聞いて、行動力のある人になりたいなと思いました。」(2年生)
「普段は中々見えない生産地での現実。たくさんの子どもたちへの理不尽な仕打ち。痛々しい環境を深く知ることができました。今に感謝し、わたしも些細なことからはじめたいと思います。」(3年生)
新喜多中学校のホームページでも当日の様子が紹介されていますので、ぜひご覧ください。
https://school.higashiosaka-osk.ed.jp/shigita-j/notice/index/112/1740
講師派遣・出前授業のご依頼をお待ちしています
上記の例の他、フェアトレード/エシカルやキャリア教育などをテーマに講演やワークショップで講師派遣を行わせていただきます。対面だけではなく、オンライン講演のご依頼も受け付けています。ぜひ、まずはお問合せください。
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- カテゴリー:報告
- 投稿日:2023.01.24