【ガーナ便り】学用品と学校給食で出席率が急激に向上!「医者になりたい」夢を見つけたナンシーさんの話
こんにちは!ガーナ担当スタッフの赤堀です。前回8月のガーナ便りからもう4か月がたち、年の瀬となりました。ガーナでは首都や地方都市のショッピングモールではクリスマスソングが流れ、クリスマスの飾りつけで赤や緑に染まっています。現在活動している農村部の村ではクリスマスだからといってこれといって変わったことはなく、いつもと変わらない風景が広がっていますが、子どもたちや学校には嬉しい変化があったので、ご報告させていただきます!
学用品の支給と学校給食で出席率も転入生も増加!?
困窮家庭に学用品や制服を支給
今年8月、プロジェクトでは、現在活動している2つの村の経済的に困窮した家庭の子どもたち66人に学用品のセットを支援しました。学用品セットには、制服や靴下、靴、鞄、えんぴつ、消しゴム、ノートなどの筆記用具などが含まれています。学用品を受け取った子どもたちは、児童労働をしていたり、学校に行っていなかったり、学校には登録しているけど休みがちな子どもたちです。
このような子どもたちを特定するにあたり、プロジェクトでは幾つかの段階を設けました。
まず、村の子ども保護委員会(CCPC)のメンバーと一緒に住民の世帯登録をしました。世帯登録は、村の住民の情報を世帯ごとに集めて、児童労働の実態について把握するためのものです。次に、世帯登録で集まったデータの中から、児童労働をしていたり学校に行っていないと思われる子どもを割り出しました。さらに、子ども保護委員会(CCPC)が、その中でも特に困窮している家庭を割り出し、最終的に66人の子どもに学用品を支援することとなりました。
学用品を受け取った子どもとその保護者は、毎日学校に通うこと、そして保護者は、子どもが学校に通うことを阻害したり、安全を損なったり、身体に負担をかけるような労働を子どもにさせないことを約束しました。
ACEと保護者が協力して学校給食をスタート
学用品の支援に続いて10月には、3つの小・中学校で学校給食の支援も開始しました。現在活動している2つの村では、特に水曜日から金曜日に子どもが学校を休んで保護者と一緒にカカオ農園や青空市場に行って仕事を手伝う傾向が強かったため、週5日のうち水~金曜日の給食をプロジェクトが支援し、月~火曜日は保護者がお金を出し合って 賄うことにしました。
一部だけでも家庭から賄う理由としては、プロジェクトからの支援に依存するのではなく、年ごとに自己負担の割合を増やしていくことで、プロジェクト完了後も保護者や住民によって給食を継続できるようにするためです。
出席率100%、転入生も増加。「行きたくなる」学校に
学用品を受け取った子どもたちは約束通り毎日学校に通うようになり、8月末以降、学校の出席率は100%が維持されています。さらに驚いたことに、転入生が増え続けています。周辺コミュニティの保護者が学校給食が始まったことを聞きつけ、これらの学校に子どもを通わせるようになったためです。
学校給食を含め、子どもが行きたくなるような学校環境を作ると自然と子どもが集まってくるのだなあと改めて実感しました。
将来は医者になりたいので、勉強を続けたい
学用品を受け取った子どもの一人、ナンシーさんをご紹介します。ナンシーさんはL村に住んでいる中学校2年生。L村には中学校がないので、他の村の中学校まで1時間半ほど歩いて通っています。
ナンシーさんはシングルマザーだった母親が早くに亡くなり孤児となり、叔父さんが彼女を引き取ってくれました。しかし、叔父さんはカカオ農園のケア・テイカー(※)で決して生活に余裕があるわけではなく、自身の3人の子どもを学校に行かせるのに精一杯で、ナンシーさんの学用品を十分にそろえてあげることができませんでした。
そのためナンシーさんは学校を休みがちになり、学校に行かない時はカカオ農園で叔父さんの手伝いをしたり、家事をしたりしていました。そんなナンシーさんと叔父さんにインタビューしてみました。
ナンシーさん
以前は学校に行かずカカオ農園で働いたり一人で勉強したりしていて、悲しかったです。プロジェクトからもらった学用品は、毎日学校に行くためのモチベーションになっています。学用品を受け取れて、本当に嬉しい。毎日学校に行くようになって友達とも一層仲良くなりました。学校では社会科、特に環境について学ぶのが好きです。将来は医者になりたいので、勉強を続けたいです。
叔父さん
子ども保護委員会(CCPC)のメンバーを通して、教育の大切さを実感しました。今後もナンシーの教育をサポートし続けたいです。ただ、そのためには収入を増やす必要があります。
叔父さんには、プロジェクトでカカオ栽培研修を実施予定なので是非参加してほしいことを伝えました。
ナンシーさんのように、親を亡くしたために親戚に引き取られた子どもが、児童労働をしたり学校を休みがちになっているケースをよく見聞きします。インタビュー中、ナンシーさんが叔父さんに背を向けるように座っているのも気になりました。孤児であることで家庭内で本音が出しにくく、勉強し続けたいと言い出しにくかったのかもしれません。ナンシーさんについてはまた児童労働に戻ってしまわないように引き続きモニタリングしていきます。
住民自身が子どもを守る環境づくりを
学用品の支援と学校給食について、来年以降の課題は、いかに住民自身で継続できる仕組みにするかということです。学用品を受け取ったのは、経済的に困窮して子どもに学用品を買ってあげられない家庭です。このような家庭がプロジェクト終了後も子どもの教育に必要なものを買い続けられるように、保護者には来年から実施するカカオ栽培や稲作の研修を紹介して収入向上を促すとともに、村全体でこのような家庭へのセーフティーネットを作っていければと考えています。学校給食についても、研修などを通じて家庭の収入が向上することにより、給食費が賄えるようになることを目指していきます。
このような活動は、みなさまからのご寄付で支えられています。子どもたちの学校生活をこれからも守っていけるよう、今後とも、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
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- カテゴリー:報告
- 投稿日:2023.12.18