【ガーナ便り】「子どもたちの教育を支えていきたい」家庭の収入向上のために稲作研修をしています | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

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【ガーナ便り】「子どもたちの教育を支えていきたい」家庭の収入向上のために稲作研修をしています

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こんにちは!ガーナ担当スタッフの赤堀です。

ACEはガーナのカカオ生産地で、危険な労働にさらされている子どもたちを守り、教育を支援する「スマイル・ガーナ プロジェクト」を実施しています。

活動を実施している2つの村では、子どもをもつ保護者(特に女性)のための稲作研修が本格的に始まりました!今回は、この研修の様子を紹介させていただきます。

K村の稲作研修に参加している女性たち約20名

 

女性保護者の収入源を増やすために

プロジェクトでは現在活動している2つの村のすべての子どもが学校に通えるようにすることを目指しており、村の子ども保護委員会(以下、CCPC)はプロジェクトスタッフと協力して、教育の重要性と児童労働の危険性について保護者たちに説明してきました。

ガーナでは高校までの学費は無償なのですが、子どもたちを学校に通わせるには制服や学用品などを揃えないといけません。カカオからの収入の少ない家庭にとっては、これは大きな経済的な負担となります。

そのため、カカオ農家の経済的安定性を高めることを目的に、カカオ以外の収入手段を確保するための研修を実施しています。

特にガーナでは離婚率が高く、一人親で複数の子どもを育てる母親が一定数いることや、家事や子育てに女性が関わる機会が多く、男性に比べて収入を得られる仕事に就く時間が限られていることことから、女性の方が経済的安定性が低いと言われています。また、女性の収入が安定すると、子どもの教育費に費やす費用も安定すると考えられています。このためプロジェクトでは、特に女性の保護者を対象とした稲作研修を始めました。

稲作のための整地方法について、講師からの説明を真剣に聴く女性たち

 

稲作である理由

ガーナ農業省によると、ガーナでは人口増加や食習慣の変化により米の消費量は増加の一途をたどっている一方で、米の国内自給率は減少傾向にあり、食料安全保障の観点からも稲作が推奨されているそうです。

このためプロジェクトでは、副収入源としての稲作の可能性に着目しました。

研修には郡の農業局の職員を講師として招き、各村で毎週1回実施しています。整地のしかたや苗床の管理、病虫害の対策など、実践を含めて幅広い知識とスキルを4カ月間かけてみっちり学びます。

研修に集まった約40人の女性たちは、受講した動機について以下のように話してくれました。

  •  家計を助けるために一生懸命働きたい!
  • 子どもたちの教育費を稼ぎたい!
  • 多くの米が収穫できるように、より良い知識を得たい!

グループによる共同作業の促進

研修では、各村で研修に参加している女性たちでグループを作ることから始めました。米の栽培は個々人で行いますが、グループとして団結することで、収穫作業を助け合ったり、販売する際により交渉力を持てたり、地方自治体や外部組織からの支援が得やすくなったりするというメリットがあるからです。

その後、研修のために設置した実地研修用の農地に移動し、稲作のための整地方法や適正な土壌の作り方、苗床の管理方法について学びました。また、気候変動による農業への影響や、品種の選び方についても学びました。苗床の作成手順や管理方法については受講者から多くの質問が飛び交い、真剣さが伝わってきました!

品種については様々な品種とそれらの持つ特徴についての説明がありました。その中からプロジェクトとして、アグラ米という品種を受講者に配布することにしました。アグラ米は、病気や日光に強く、成長が早く、実りも多く、味も良く、市場の需要も高い(!)という、講師お勧めの高品質の品種です。さらにプロジェクトでは、除草剤や肥料も各参加者に配布しました。これら資材を受け取った女性たちは、その後各々の農地で本格的に稲作を開始しました。

実地研修用の農場の一区画に苗床を作ります

一定の間隔をとって米の種子を配置し、埋めます

保温と保水の目的で、ヤシの葉で苗床を覆います

子どもたちの教育を支えていきたい

 

稲作研修に参加しているK村のドロシーさん(仮名)は45歳で、ケアテイカー(※1)としてカカオ農園で働きながら、7人の子どもを一人で育てているお母さんです。7人の子どものうち2人は、十分な学用品を揃えることができず学校を中退していました。また1人は学校を休みがちでした。プロジェクトではこれら3人の子どもに学用品一式を支給しました。ドロシーさんは子どもたちの様子や稲作研修について、次のように話してくれました。

「学用品を受け取った時、子どもたちはとても喜んでいました。私も本当に嬉しかったです。子どもたちは現在も学校に通い続けており、3人ともに学力が向上していると感じています。稲作研修に参加してしっかりと技術を身につけて、今後も子どもたちの教育を支えていきたいと考えています。」

子どもたちの様子や今後の抱負を話すドロシーさん

 

カカオ以外の収入手段を持つことで、カカオ農家の収入をより安定させることができます。ドロシーさんが願っているように、各家庭が子どもの教育を支えられるようになることをめざして、これからも稲作研修を続けていきます。

このような活動は、みなさまからのご寄付で支えられています。子どもたちの学校生活をこれからも守っていけるよう、今後とも、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

プロジェクトから、米の種子、除草剤、肥料を受け取ったL村の女性たち。これから皆でがんばるぞ!

 

※1 カオ農家の地主のもとで働き、収穫の一部を地主に収める雇用形態。詳細は以下の活動報告をご参照ください。
【ガーナ便り】雨不足で干乾びたカカオ、農家の収入が減少しています

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2024.04.24