持続可能な公共調達の促進:SRセミナー2024第4回 「12月7日は『持続可能な社会責任公共調達の日』!」に代表の岩附が登壇しました
持続可能な公共調達の促進:SRセミナー2024第4回 「12月7日は『持続可能な社会責任公共調達の日』!」に代表の岩附が登壇しました
2024年12月6日に開催された、社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク(NNネット)主催のSRセミナー2024 第4回「12月7日は『持続可能な社会責任公共調達の日』!」にACE代表の岩附由香が登壇し、「海外事例から考える、公共調達における児童労働対応」についてお話しました。
公共調達とは~社会課題解決に向けた大きな役割~
公共調達は、政府や地方自治体などの公共部門が物品やサービスを調達することを言います。
公共調達の財源は、税金や国民の貴重な財源から充てられるため、国の会計制度においては、最も効率的に使用されるよう経済性の原則が重視されています。しかし、近年では、公共調達を活用して、社会課題の解決やありたい社会の実現にも資するような取り組みも行われています 。SDGs(持続可能な開発のための2030アジェンダ)においても、目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」(持続可能な消費と生産)内のターゲット12.7として、「国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する」を掲げています。
国の経済活動全体に占める公共調達の割合は、一般的には、GDPの10% から 15%程度を占めている と言われており、大きな経済的インパクトを持っていることから、社会の仕組み作りにおいて公共調達が果たす役割は決して小さくありません。
欧米の取り組みと日本の現状
セミナーでは、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表者の川北秀人氏の進行のもと、深津学治氏(グリーン購入ネットワーク 理事・事務局長)、江森克治氏(全日本印刷工業組合連合会 常務理事)、長谷川雅子氏(CSOネットワーク 理事・事務局長)、ACE代表の岩附が参加し、持続可能な社会づくりのために公共調達が果たす役割について、活発な議論が行われました。
岩附からは、「海外事例から考える、公共調達における児童労働対応」をテーマに、主に次のような国際的な取組をお話しました。
・ 児童労働とは
・ ACE(エース)について
・ ISO 37200 現代奴隷のガイダンス文書
・ 米国の公共調達と児童労働
・ 欧州・各国のサプライチェーン関連法からみる公共調達
・ 今後の課題
特に欧米では、公共調達に関する法律において、入札参加企業による強制労働や児童労働などの人権侵害を禁止する、あるいは関与した企業を入札から除外する規制が設けられています。また、近年ではサプライチェーン関連法においても、違反者を公共調達から一定期間排除する規定が設けられるなど、公共調達において社会的責任を重視する政策が進展している点を説明しました。
その上で、公共調達に関連する法律に人権尊重の規定を持たない日本の今後の課題として、欧米の取り組みも参考に、公共調達に関する法の改正や、人権デュー・ディリジェンス義務化の法制化と併せた議論(審議会の立ち上げ)など、省庁別ではなく、政府横串の取り組みが必要である点を強調しました。
他の登壇者のみなさまからも、地方自治体の取り組みや官民共創の試み、日本の公共調達に関する制度の特徴など、幅広い観点から事例の共有がありました。後半では、今後の課題について活発な議論が行われ、企業においても、政府においても、ありたい社会の姿という「パーパス」を持つことから始め、政府の強いコミットメントを引き出していくことの重要性が確認されました。
今後もACEの知見や経験を通し、社会的責任を伴う公共調達の実現に向けて、活発な議論の促進と政策実現に貢献していきたいと思います。引き続きのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
世界の子どもの笑顔のため、世界を変える小さな一歩を。
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2025.01.21