【開催報告】ACE活動報告会2024を開催しました
【開催報告】ACE活動報告会2024を開催しました
2024年12月6日(金)、支援者のみなさまにACEの2024年の活動をご報告する活動報告会をオンラインにて開催しました。55名の方にお申込みいただき、リアルタイムでは約30名の方にご参加いただきました。2024年のACEの活動の総括と、ガーナでの活動について現地の状況など中心にご報告することができました。
「2024年10大ニュース」を発表
第一部として、「事務局長・小林が独断と偏見で選ぶ『ACE2024年10大ニュース』」をご紹介しました。
2024年 ACEの10大ニュース
10位:薄茶から緑
ACEの公式カラーが「薄茶」から「緑」に変わりウェブサイトの色も変わりました。
9位:やっぱり会うと違う
普段の勤務は完全リモートワークですが、2024年7月に2泊3日の合宿を行いました。対面で会うことで関係性が深まり、コミュニケーションがよりスムーズになりました。
8位:やっぱり見ると違う
ガーナ支援地へのスタディツアーを複数回実施し、企業関係者をはじめ様々な方にご参加をいただきました。実際のカカオの生産現場を見ていただく貴重な機会となりました。
7位:30年で何が変わった
子どもの権利条約を日本が批准してから30年を記念し、イベントの実施や、子どもの意見を集約した意見書の提出をしました。
6位:健康問題
ACEは完全リモートワーク(在宅勤務)なので、基本座りっぱなし。職員の運動不足解消のために、オンラインでつなぎながら任意参加で体操や散歩などをしています。
5位:事件はコンビニで
コンビニで手に入るチョコレートの、サステナブルな取り組みが進んでいます。ACEへの支援になるチョコレートも多数あり、チョコレート好きな事務局長・小林は「寄付になる」を口実にたくさん買ってしまうそうです。
4位:リゾート好き??
2024年は沖縄への出張が大変多い一年でした。一見、「リゾート好きなのか…?」と考えてしまうかもしれませんが、沖縄での活動が大きく進展していることが理由でした。
3位:多様化
ACEの職員は東京、香川、大阪などの日本各地…だけでなく、インドネシアやヨルダンなど海外に住んでいる職員も。居住地や勤務形態が一層多様化しています。
2位:【特別枠】「そのこ」を残して
ACEに詩を書き下ろしてくださった詩人・谷川俊太郎さんが2024年11月にお亡くなりになりました。 谷川さんが残してくださった詩を、これからも多くの人に届けていきます。
1位:希望
ACEのオリジナルチョコレートである「ANIDASOƆ(アニダソ)チョコレート」 を企画・販売することができました。
スマイル・ガーナ プロジェクト活動報告:「ガーナ便り」より
第二部では、スマイル・ガーナ プロジェクトに携わるACE職員の伊藤から、現地の様子とプロジェクトの進展について報告しました。本報告は伊藤が執筆した活動報告「ガーナ便り」を基に構成されています。ぜひガーナ便りもお読みください。
・【ガーナ便り】カカオ危機の実態
・【ガーナ便り】子どもたちの笑顔を守りたい ー フィールドスタッフ、クワメさんのプロジェクトにかける思い
カカオ危機の現状とその背景
いま、ガーナを含む西アフリカでは、気候変動や病害虫の被害、森林伐採、違法な金鉱採掘による土壌汚染などが原因で、カカオの収量が激減してしまっています。この「カカオ危機」の背景にある、農園の管理における課題や違法採掘の問題などについてご説明しました。
農地では、カカオの木の病気やシロアリの発生などの問題があり、カカオを十分に生産することができていないという状態です。この背景として、農薬が適切に使用できていなかったり、政府からの農薬の配布が滞ってしまっていたりということが挙げられます。カカオ農家の方に、農園を管理するための十分な知識を持ってもらえるよう、プロジェクトでは農業研修を実施しています。
現地で活動するクワメさんと子どもたちの様子
現地で活動するパートナー団体CRADAのクワメさんや、スマイル・ガーナ プロジェクトから学用品の支援を受けた現地の子どもたちの様子などについてご紹介しました。
現地スタッフは、農家や地域住民との信頼関係を築きながら、日々の活動を行っています。例えば、ガーナでは離婚率が高くシングルマザーが多いことや、女性の収入が安定すると子どもの教育費用の確保につながりやすいという観点などから、女性を対象とした稲作の研修なども行っています。
現地の人々の「お互いに助け合いながら生活をする」という精神が、農業支援や教育支援の現場だけでなく、子どもたちにも見られたのが印象的であったこともお伝えしました。
「児童労働フリーゾーン」活動報告
続いて、ACE副代表の白木と職員の松本より、ガーナ政府の実施する「児童労働フリーゾーン」構築にかかるプロジェクトについて報告しました。
児童労働フリーゾーンとは
「児童労働フリーゾーン(Child Labour Free Zone: 以下CLFZ)」とは、児童労働をなくし、子どもの成長を守るために必要な仕組みや支援が整っている地域をさします。
児童労働フリーゾーンの構築は、ガーナ政府が国の計画として進めてきたものですが、実はACEが2009年からコミュニティ単位で実施してきたスマイル・ガーナプロジェクトの経験が土台となっています。
2018年にガーナの雇用労働関係省と協力して、児童労働フリーゾーンを認定するための要件を定めたガイドライン(以下、CLFZガイドライン)」の策定に取りかかり、2020年3月にこれが完成し、ガーナ政府より発行されました。ガーナ政府はCLFZを全国に広げることで、国全体で児童労働を撤廃していくことをめざしています。
ACEは、策定されたCLFZガイドラインが実際に運用され、持続可能なシステムとして機能するための支援を続けてきました。
そして、2024年2月には国際協力機構(JICA)を通じた日本政府の支援事業が開始しました。ACEは、アイ・シー・ネット株式会社とデロイト トーマツ コンサルティング合同会社との共同事業体を組んでこの事業を受注し、現地での活動を実施しています。
ACEから3人のスタッフが正式なメンバーとして参画もしており、松本はコミュニティ(村)での仕組み作りを、白木は省庁関係者や開発パートナーとの連携をそれぞれ担当しています。
コミュニティで活動することで見えてきた課題
松本からは、コミュニティで行っている活動や課題についてお話ししました。
事業では、2つの自治体(郡)をモデル地域に選定し、CLFZを構築することをめざして支援活動を行っています。自治体の中でも複数のコミュニティが集まったゾーン単位での認定となるため、各コミュニティおよびゾーンがCLFZ認定要件を満たすレベルにどの程度近いのか、遠いのかを把握するためのコミュニティ調査をまず行いました。2つの郡の191村を対象にした大規模な調査です。
この調査結果を元にして、郡の中での優先地域を選び、村で児童労働をモニタリングする仕組みを作る支援などを行っています。
見えてきた課題として、ガーナ政府が児童労働フリーゾーン制度の前提と考えている仕組みが、実際にコミュニティに入ってみると機能していないという実態が多々あることがわかってきました。
一例としては、各コミュニティで子どもの保護を担う中心的役割である「子ども保護委員会」が、実際には村に設置されていない、設置はされていても国の定めた条件を満たしていないケースです。
子ども保護委員会が国の求めるメンバー構成となり、期待される活動を実行していけるよう、プロジェクト主導ではなく、郡やコミュニティの人たちとの話し合いを通じて、再組織化の支援を行いました。このようなコミュニティ活動で直面する難しさは、児童労働フリーゾーン制度が改善され、今後より良く機能していくためのヒントと捉え、前向きに取り組んでいきます。
また、ACEがNGOとしてこのプロジェクトに関わることで、SGPを通じて長年のコミュニティ活動で得られた経験や学びが案件実施に活かされ、国家レベルからコミュニティの人々まで皆が児童労働の予防・解決に取り組むための実効的な仕組み作りに貢献できていると考えています。
様々な開発パートナーとの連携を通じ、ベストを尽くす
最後に白木からは、ガーナ政府の取り組みは、JICAのみならず、様々な開発パートナーによっても支援されていることを報告しました。プロジェクト開始直後の2024年3月には、ユニセフ、ILO、ICI(国際カカオイニシアチブ)、世界銀行が一堂に会し、ガーナ政府と連携しながら、児童労働の撤廃に向けた取り組みを加速化していくことを共同で宣言する会議も開催されました。
2025年はSDGsの児童労働撤廃の年、またILOによる児童労働の世界推計が発表される年です。この重要な年の児童労働反対世界デーに、児童労働フリーゾーンの実現に向けた取り組みの成果が発表できるよう、ベストを尽くしていきます。
ACEの持つインパクトを通じて、ガーナ全体が「児童労働フリー」になっていく未来を目指し、引き続き取り組んでいきます。
今後もご支援のほど、どうぞよろしくお願いします。
ガーナの子どもたちを笑顔にするために
応援よろしくお願いします!
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2025.01.21