【沖縄便り】「うまんちゅしゃべり場」子ども・若者とおとなの対話型ワークショップ開催
【沖縄便り】「うまんちゅしゃべり場」子ども・若者とおとなの対話型ワークショップ開催
こんにちは。「沖縄うまんちゅ子どもの権利推進プロジェクト」(以下うまんちゅプロジェクト)担当スタッフの上村と坂口です。うまんちゅプロジェクトは、子ども・若者のウェルビーイングの向上を目指す活動で、沖縄県内で「子どもの権利」や「共感的コミュニケーション(NVC)」の研修をおとな向け、子ども向け、親子向けなどで企画・実施しています。
今回は、子ども・若者と地域のおとなが同じテーブルで対話する場として実施した「うまんちゅしゃべり場」についてご報告します。
子どもの意見を聴くってどうしたらできるのだろう?
2023年4月に施行された「こども基本法」は、日本国憲法および子どもの権利条約の精神にのっとり、全ての子どもが、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指してつくられました。そしてこの法律により自治体には、子ども施策に子ども・若者の意見を反映することが義務付けられました。
おとなが子どもの意見を聴けるようになるための研修はできるだろうかと、沖縄県うるま市で活動するパートナー団体である一般社団法人URUFULLと、子ども・若者とおとなが対話する場として企画したのが、「うまんちゅしゃべり場」です。 この企画は、ステップ1~3の連続するワークショップで、うるま市とうるま市教育委員会の後援を得て、ステップ1、2と実施しました。
ステップ1:若者とおとなが一緒に学ぶ「子どもの権利実践研修」
2024年7月29日(月)うるま市健康福祉センターにて、若者7名、おとな16名(教育委員会や行政、社会福祉協議会、子ども支援団体、市議会から参加)の参加で子どもの権利実践研修を実施しました。子どもの権利とこども基本法、子どもの権利条例を制定している自治体の取り組みについての講義の後、若者とおとなが少人数のグループになり、おとなが「子ども・若者施策についての悩み・若者にききたいこと」を若者にインタビューするグループワークを行いました。
「苦しい時にどんな場所があったら良いか」の質問には、「進路やこの先どうするの?って嫌なことをはきかれたくない。」「スマホばっかり触ってるから、オンラインの方が話しやすいと思われがちだけど、 知らない人とSNSで話すのは怖い。 直接話せる場所がいい。」という若者からのリアルな言葉をおとなは直接聴くことができました。
終了後のアンケートでは、若者から「施策を実施する側のおとなと話すことはなかなかないので良い経験になった。」「(講義の内容が)18年生きてきて初めて知った内容ばかりだったので、みんなにも知って欲しい。」「おとなと子どもを交えたワークがとても良かった!また機会があれば参加したい。」や、おとなからは「自分のわからなかった若者の声がきけた。」「声をきくことが最初になると思った」などの感想がありました。
ステップ2:子ども・若者とおとなの対話型ワークショップ
2024年10月5日(土)うるま市いちゅい具志川じんぶん館にて、子ども・若者とおとなの対話型ワークショップを開催しました。参加は15歳未満の子ども8名、16~30歳の若者8名、おとな10名(教育委員会や行政、子ども支援団体、市議会から参加)で、運営スタッフ8名も加わった計34名で子ども・若者とおとな混合の4~5名ずつで7グループをつくりました。
前半に子どもの権利条約やこども基本法についてのミニ講義と、共感的コミュニケーション(NVC)(*1)のダイアローグカードを用いたワークを行い、休憩を挟んで後半に、まるい用紙「えんたくん」(*2)に書き込むグループワークを行いました。
(*1)共感的コミュニケーション(NVC):Nonviolent Communicationの略。アメリカの臨床心理学者であるマーシャル・ローゼンバーグ博士によって体系立てられたコミュニケーションの方法で、観察・感情・ニーズ・リクエスト、4つの要素を大切にし、対話へと導く手法。
(*2)えんたくん:ワークショップや研修などで活用される、対話を生み出すためのコミュニケーションツール
子ども・若者とおとなが一緒に描く「うるま市がこうなったらいいな」
子ども・若者が幸せと感じられる町(ウェルビーイングな町)になるためには何が必要かを各グループで、始めは各自で書き出し、その後にグループメンバーに書いた紙を見せて共有することで対話しました。さらにグループごとに、実現するためのアイディアや課題の解消に必要なアクションを付箋に書き出していきます。
初対面のメンバーが多い中でのグループワークでしたが、7グループそれぞれに、とても多くのアイディアとアクションが表現されました。
午前中に集合してもらった子ども・若者と、会場設営後にカードゲームなどで一緒に遊んだりお昼ご飯を一緒に食べたりする時間を設けていたこと、また午後のプログラムでも自己紹介タイムやウォーミングアップの単純なゲームを取り入れたことで、場の緊張がやわらいだかもしれません。
7グループのそれぞれがテーマに選んだ「こうなったらいいな」
・遊ぶ場がたくさんある
・みんなが安心できる場所が増えたらいいな
・自己がより選択しやすい環境!
・中卒でも出来る仕事を増やす
・どの子ども達も豊かに学べる環境がある
・まいにちたのしい1日
・進路に困らない
(「えんたくん」の記録の一部。製作中の冊子より。)
各グループで書かれたテーマに関連した課題や、実現や解決につながるどんなアクションがあったかの内容については、ステップ3の企画で配布予定の冊子にまとめましたので、次回の沖縄便りでご紹介予定です。
グループワークの最後には、ひとりひとりがこれから取り組む「わたしのアクション」を書いて発表しあいました。「暇そうな人がいたら声をかけて一緒に遊ぶ」「無料バスの担当課にアイディアを伝える」「いろんな人と会話する!」「身近なおとなに相談できるようになる」「娘と話す」などの、ウェルビーイングのために参加者各々が考えたアイディアです。
「いろんな人とたくさん意見をはなせた!」アンケ―トの声の紹介
子ども参加者
「たのしかった!」
「知らなかったことを知ったり、いろんな人としゃべれた」
「カードで自分の気持ちをつたえた」
「自分がうるま市にほしいものを言えた」
若者参加者
「普段かかわりのない方や、機会がないと話すことがない子どもと話せた」
「幅広い世代から意見をきけて良かった。」
「自分の意見を共有できて楽しかった。他の人のウェルビーイングについて知れたのもとても良かった」
おとな参加者
「子どもとおとなが一緒に話し合える場はなかなかないと思うので、とても楽しかったです。」
「若い世代の意見が参考になった。もっと早く居場所に出会うことが出来たら、、、という若者のコメントが心に残った。」
「色々な人とのつながりができた。」
「初めて参加しましたが、子ども達の声を生できくことができ感性の豊かなことに感動しました。」
「対話の場の必要性を感じた。アイディアが重なるおもしろさがあった」
参加者集合写真「わたしのアクション」を持って
プロジェクト運営スタッフとして…
どの世代からも、また参加したい、またこういう機会が欲しい、というフィードバックがあったことがとても嬉しく、対話の場の必要性、子ども・若者、そしておとなにとっても、意見表明ができる場づくりの大切さを再認識できたワークショップでした。聴くことが対話の初めだという参加者の言葉はまさにその通りですし、自分のアクションを書いた後の表情が皆さんイキイキとしているのも印象的でした。
一人で社会を変えることは難しいけれど、「わたしのアクション」は社会を変えるための着実な一歩である、という感覚を子ども・若者・おとなで共有できていたらうれしいなと考えています。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
「うまんちゅしゃべり場」ステップ3は、2025年1月25日うるま市健康福祉センターで行われる「こども未来フェスタ」にて、「うるびーラジオ~みんなの声をきこう~」を企画しています。
これからも、沖縄うまんちゅ子どもの権利推進プロジェクトは沖縄県で子どもの権利の普及・推進をしながら子ども・若者のウェルビーイング向上を目指す実践的な活動をしていきますので、応援よろしくお願いいたします。
- カテゴリー:報告
- 投稿日:2025.01.21