児童労働のない未来へ-NPO 法人ACE代表 岩附由香のブログ

東京新聞夕刊コラム「紙つぶて」

2021年6月3日

ビジネスと人権

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ユニクロの綿シャツが米国で輸入差し止めになっている。理由は人権。米国は中国の新彊ウイグル自治区の人権侵害を重くみて、「強制労働」があるとして、二〇二〇年十一月三十日に米税関・国境警備局(CBP)が違反商品保留命令(WRO)を出し、自治区内の綿と綿製品を輸入差し止めの対象とした。これに当たらないと、ユニクロを展開するファーストリテイリングは解除を求めたが、拒否されている状態だ。

企業がグローバルな規模で事業を展開し、一国の国家予算を上回るような経済規模になると、CSR(企業の社会的責任)が叫ばれるようになった。そこから一歩進んだのが、一一年の国連「ビジネスと人権指導原則」である。国家の人権を保護する義務と同時に、企業にも人権を尊重する責任を求め、企業の責任の範囲が拡大した。

これを受けて、企業のサプライチェーン(供給網)に強制労働や児童労働の人権侵害がないか、確認するプロセスを法律で促す国が相次いだ。

欧州連合(EU)では、人権と環境の両面から企業にそれを求める法律がいま審議中だ。実は、環太平洋連携協定(TPP)にも強制労働によって生産された物品を輸入しないよう奨励する条項がある。しかし、日本にはそれに関する法律はない。そろそろ、日本も議論を始めたほうがいいのでないかと思っている。

NPO「ACE」代表 岩附 由香

(2021年6月1日の東京新聞・中日新聞夕刊コラム「紙つぶて」に掲載)

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