2024年5月31日
【岩附通信vol.40】最悪の形態の児童労働条約25周年と新しいはじまり
新年度、新学期、と新しいこといっぱいだった4月も終わり、ゴールデンウイークを迎えました。みなさま、一息つけていますでしょうか?
ACEは3~4月で産休・育休に入るスタッフが2名いることもあり、この3~4月で5名の方々が新たにスタッフとして加わりました。
完全リモートワークならではで、居住地も沖縄、広島、香川、神奈川、東京とバラバラです。リモートで、職員間のコミュニケーションは成り立つの?とよく聞かれますが、年に一度はスタッフ合宿でみなさんとリアルで会う機会を持つべく、7月に開催する合宿についても鋭意準備中です。
準備中といえば、GWあけすぐにまた今年もクラウドファンディングがスタートすることになり、そちらの準備も佳境を迎えています。そして、6月1日からはじまる児童労働ネットワークの「ストップ!児童労働キャンペーン」も。
6月12日の児童労働反対世界デーに合わせての世論啓発キャンペーンですが、今年は児童労働ネットワークが20周年ということもあり、6月7日(金)にシンポジウムを開催することになりました。多くの方に登壇いただく予定で、その調整も絶賛進行中です。
毎年この時期になるとILO(国際労働機関)から、今年の児童労働反対世界デーのテーマが発表されます。
今年のテーマは”Let’s Act on our Commitments: End Child Labour”(児童労働を終わらせるためのコミットメントを行動に移そう)。
今年は、最悪の形態の児童労働条約(*1)が採択された25周年という節目であり、かつ世界の児童労働が増加傾向にあり、
児童労働撤廃の目標が目前に迫る中、こうしたテーマになったようです。
(詳細はこちら https://www.ilo.org/topics/child-labour/campaign-and-advocacy-child-labour/world-day-against-child-labour)
(*1)最悪の形態の児童労働条約は、ILOの8つの基本条約の1つで、子どもの安全、健康、道徳を害するおそれのある危険有害労働を禁止しています。
人身取引、債務労働、強制労働、児童買春、および児童ポルノ、犯罪など不正な活動、武力紛争での子どもの使用が含まれます。
この最悪の形態の児童労働条約については、私自身思い入れがあります。
ILOのこうした国際条約は2年間かけて審議されるのですが、1998年、その審議1年目のILO総会の一部を垣間見る経験を得たのです。
ACEが活動をはじめたきっかけの「児童労働に反対するグローバルマーチ」の終着点がここジュネーブであり、このILO総会の場だったのです。
みんなでジュネーブの街をマーチして、ILOの裏庭でモニュメント設立の儀式も行ったのですが、その時の当時のILO事務局長が、世界から集まった元児童労働者に向けて「ILOは働く人のためにあります。なのであなた方のためにもあるのです」と言ってくれたことも、とても感慨深く見ていました。
実は、活動をはじめたばかりで若かった私にとって、ILOでの議論は、えらく形式的に感じられて、「こんな議論を子どもたちから離れたところでしていて、本当に子どもたちにとって役立つ法律になるんだろうか」と、やや半信半疑でした。
しかし、実際に条約が出来てみると、それまでどうしても「児童労働とは何を指すか」の定義が議論になって前に進まなかった議論が条約によって定義がなされたことにより前に進むようになり、児童労働があること自体を公に認めたがらなかった途上国政府が「あるし、取組みます」と態度を変え、ILOの技術協力プログラムによって各国が時限的目標を定めて児童労働撤廃を目指すなど、本当にパラダイムシフトといってもいいぐらいの変化を目の当たりにすることになりました。
一番はじめの「児童労働に反対するグローバルマーチ」の活動で、こうした国際法の威力、そしてアドボカシー活動の重要性や意義について、体感したのです。
そんなアドボカシー活動を職員として私と一緒に担ってくれていたスタッフがこの6月で退職することになりました。
彼女は実は長くACEの会員で、かつこのジュネーブでのグローバルマーチに一緒に参加したという体験を共有する唯一の存在で、2016年に職員としてACEに参加してくれてから、日本の児童労働のレポート作成や啓発活動、沖縄でのプロジェクト立ち上げ、G7やG20でのアドボカシー活動を一緒に企画し運営してきた、私にとってかけがえのない存在だったので、とても寂しいのが正直な気持ちです。
アドボカシー活動は政策が動いていくよう働きかけをするのが主な活動なので、チャンスが巡ってきた時に、ばっとそれを掴まなくてはいけない時があります。
自分たちのタイミングでは選べないので、ちょっと大変だな、、、と思うときも正直あるのですが、こういう「今だ!」というときに、「やりましょう!」っと一緒にイケイケモードになってくれる、いや、むしろ私よりもイケイケな時もある、貴重な存在でした。
というわけで、4月は新しいスタッフへの研修と、退職するスタッフからの引継ぎと、と同時並行で慌ただしく終わり、これから私が関わる複数のプロジェクトが新しい体制で進んでいきます。
フレッシュな視点で今やっていることを見てもらうと、なぜ?どうして?も結構あり、こうやって組織の新陳代謝が起きていくんだな、と実感しつつ、
チョコのシーズンの次は児童労働反対世界デーに向けた盛り上がりを作っていきたいと思います!
PS 5月7日より、ACEの活動資金を集めるためのクラウドファンディングがはじまります。
サポーター、会員として既にご支援をいただいている皆様への重ねてのお願いとなり恐縮ですが、別途ご案内を送らせていただきますので、ご支援、また情報の共有などでご協力をいただけたらありがたいです。
実は、クラウドファンディングのご支援いただいている方の中には、「知り合いからのメールの転送で知った」という方もいらっしゃいます。
お友達・お知り合いにご紹介いただけるととても嬉しいです!!
2024年4月 ACE代表 岩附由香
※「岩附通信」は、会員・子どもの権利サポーターの方の特典として毎月1回配信しているコンテンツですが、配信から一カ月以上が経過したものは代表ブログにて一般公開しています。