人身売買禁止ネットワークの会合に参加しました | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

児童労働のない未来へ-NPO 法人ACE代表 岩附由香のブログ(single-blog)

児童労働

2004年7月28日

人身売買禁止ネットワークの会合に参加しました

5月25(日)、人身売買禁止ネットワーク(JNATIP:Japan Network Against Trafficking In Persons)の会合に参加してきました。人身売買禁止ネットワークは、日本における人身売買の実態を明らかにし、被害の防止、被害者の救済と保護、加害者の処罰等を盛り込んだ実効性のある法律(人身売買禁止法)の制定を目指し、2003年10月に設立されたネットワークです。

「人身売買?」それとも「人身取引?」

私が参加させていただいた会合では、法律案の具体的内容などが話し合われていました。要綱案として、弁護士の吉田さんが下書きしてくださったものを元に、みんなで議論をしました。

まず、文言をどうするか。法律として「人身売買」ではなく「人身取引」のほうが事象に対する言葉として的確ではないか、という法律的見地からの提案がありました。しかし、運動論としては「人身売買」という言葉を使うことが意味がある、という意見が出て、結局、「人身売買」という言葉を全面的に使うことになりました。

ほかにも、この法律を作る際、被害者保護と予防に重きを置くべきである、現行の法律の適用が(やろうと思えば)可能である人身売買に対して、包括法を作ることの意味など、本質的な議論もありました。

「日本には児童労働がない」とは言えない

わたしがこの法律を作成する必要があると感じたのは、もちろん現行法では十分な対応がされていないということもありますが、DV法(正式名称「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」、通称「ドメスティックバイオレンス防止法」)のように、法律ができることで事象が顕在化され、人々が関心を持つようになることの意義も深いのではないかと思ったからです。

日本は人身売買の主要受け入れ国であり、アジア・東欧・中南米から来日した女性たちが莫大な借金を負わされて、風俗産業などで働かされています。その中には子どももいます。私が聞いたケースでは、13歳の子どもが保護されました。

「日本には児童労働がない」とは、もう言えません。アメリカ国務省の人身売買に関する年次報告でも、日本は「監視対象国」と名指しされ、人身売買の最低限の基準も満たしていないと非難されています。

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