NPOの不都合な真実 | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

児童労働のない未来へ-NPO 法人ACE代表 岩附由香のブログ(single-blog)

NPO経営/NGO組織運営

2007年3月6日

NPOの不都合な真実

本日東京ボランティアセンター主催のNPO税務セミナーに参加してまいりました。NPO法人の会計・税関連はすべて事務局長+会計担当ボランティアさんにおまかせしていたのですが、今後のACEの事業の方向性や認定NPO取得をにらみ、今回は私がセミナーに参加して、学んでこようと思ったのです。

そこで今日知った、あまりにも「NPOに不都合な真実」に驚愕!!

NPO法人の事業が「収益事業」と判断されたら課税対象に

結論から言うと、特定非営利活動法人、いわゆるNPO法人は、公益団体として法人格は認められているにも関わらず、そのNPOの目的である公益に資する事業がもし「収益事業」と税務署に判断された場合、そこから得た所得が中小企業と同率で課税対象になるのです!

つまり特定非営利活動法人の収益事業は、それが本来業務、NPOのそもそもの目的である社会的課題の解決を達成するものであっても、中小企業と同率で課税されるということです!!!

これがどういう影響があるかというと、NPOの収入は大きく分けて「1.寄付や会費による収入」、「2.助成金」、「3.委託事業」、「4.事業収入」の4つがあります。

2の助成金や3の委託事業は、申請してもとれるかとれないかわからない不安定な収入源なので、NPOは1と4の寄付や事業収入をしっかり増やしていくことが自立的な運営に不可欠なんです。

でも、ここで4の事業収入が「収益事業」と判断された場合、課税対象になります。もし、1000万円の所得があったら、352万円も税金取られるのですよ。これは結果的に中小企業の税率と同じです。「収益事業」がNPO本来の目的を達するために行う事業だったとしてもです。なんと、他の公益法人と90万~225万円の税金の差があります!

同じ活動をしても他の公益法人に比べて課税率が高いNPO法人

これは何を意味するか。特定非営利活動法人(=NPO法人)が自己収入を増やして自立性を高めようとする阻害要因として働きます。もし全く同じような活動をしていても、公益法人の中で特定非営利活動法人だけ高い税金を支払わないといけないということです。法人格が違うだけで、こんなにも税額が違うのはどうしてでしょうか?

特定非営利活動法人は、収益事業をした場合、それが本来業務(NPOのそもそもの目的)を達成するものであっても中小企業と同率で課税されるという、なんと不都合な真実!!!!!

なんで今更こんなことに驚いているのか(代表のくせに)とお思いかもしれません。確かに反省。

NPO本来の目的のための活動も課税対象に

NPO法法人税法の両方に「収益事業」という言葉が出てくるのですが、これはそれぞれ違う定義があるということをいままで知らなかったのです(これは私だけじゃないはず!!)。NPO法では「本来事業」と「収益事業」という2つに分けられており、「収益事業」はNPOの本来の目的に関係のない事業のものです。例えば、ACEが駐車場を貸して収益を得ている場合は、収益事業になるわけです。本来事業に入るものは、すべて非課税なのだと思っていました。

ところが・・・。法人税上の「収益事業」の定義は、1)33業種にあてはまり 2)継続的で 3)事業所がある(インターネット上などもそうみなされる)の1~3すべてに当てはまる場合です。その場合の所得(収入から支出を引いたもの)は課税対象なんだそうです!

それはどういうことかというと。。。

それぞれNPO本来の目的の事業を行う中で、収益事業があった場合は、所得(収入-経費)は課税対象になるということ!!!!

1)の33業種には、物品販売、物品貸出、興行業、請負業など、あそこのNGOもこっちのNGOもやっていそうなものがすべて含まれるんです!

もし、NPOの目的が「障がい者の自立支援」で、そのために駐車場を格安で障がい者に貸すということを行っていた場合、それが本来の目的に資するものであっても、「収益事業」とみなされてしまうのだそうです!

えええええーーーーー!!!!!!!

NPO税制の矛盾点

これってつまり、「NPOは事業を通じて稼いで自立すること」を全く奨励していないってことだよ!ボランティアという会計上でてこない善意に支えられてなんとかトントンでやっているところが多いのに・・・。

会費・寄付金と、もらえるかもらえないかわからない助成金や委託事業(←あ、これも課税対象)だけでやっていけってこと?

どうしてこんな税制になってるの?おかしいよーーーー

例えば、何か事業をやって、その収益をインドのNGOに送ろうって場合にも、イベントの収益が課税対象になる可能性が。。。それっておかしくない??????

今まで税優遇がないという話は何度も聞いていたのだけど、実感を伴っていなかったのです。それが今日、数字を示されて、もし1000万収益があったら、352万も税金を払わないといけないということがわかって。。。

そもそも公共の目的で設立されているNPOが、その本来業務の中で得た所得に対し、税金を支払わないといけないという矛盾は、いかがなものでしょうか?

愕然というのは、こういうことをいうのか!
愕然というか顎ゼン!顎(あご)が落ちるかと思った!

いやーほんとびっくりした。
なんでこんな法律なのか、誰か教えてください。(パート2に続く)

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