G20大阪 首脳宣言に「児童労働撤廃」が盛り込まれました

G20大阪 首脳宣言に「児童労働撤廃」が盛り込まれました

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G20サミット(金融・世界経済に関する首脳会合)が、日本で初めて大阪で2019年6月28~29日に開催されました。その成果文書として「G20大阪首脳宣言」が発表され、そのなかに「児童労働撤廃」が盛り込まれました。

<労働及び雇用>
我々は,ディーセント・ワークを推進し,持続可能なグローバル・サプライチェーンの促進を通じたものを含め,仕事の世界において,児童労働,強制労働,人身売買,及び現代の奴隷制を根絶するための行動をとるというコミットメントを再確認する。

 

児童労働の撤廃については、2017年のドイツでのG20首脳宣言において明記され、2018年のアルゼンチンでの首脳宣言にも引き継がれていました。これで、3年連続でG20各国がコミットメントを示したことになります。

ACEは、日本が議長国であるG20の首脳宣言に児童労働撤廃が引き続き盛り込まれるように、さまざまな活動を行ってきました。

Civil 20(C20)を通じた政策提言

C20のワーキンググループ「労働・ビジネスと人権」のメンバーとして、政策提言書(C20 Policy Pack 2019)において、児童労働、強制労働、人身取引、現代的奴隷の撤廃、グローバル・サプライチェーンにおける透明性、ビジネスにおける人権順守を促進する具体的な施策を講じるように政府に提言しました。

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「労働・雇用大臣会合」の準備にあたる「雇用作業部会」への働きかけ

G20サミットでは、首脳会議のほかに8つの関係閣僚会合が開催されます。2019年5月11~12日に新潟で行われた農業大臣会合を皮切りに、財務大臣・中央銀行総裁会議など、最後は11月22日~23日、愛知での外務大臣会合となっています。
児童労働は、「労働雇用大臣会合」(松山市、9月1~2日)で話し合われます。その準備にあたる「雇用作業部会」が事前に4回開催される予定です。

「SDG 8.7 ダイアログ円卓会議」開催(2019年2月27日)@参議院議員会館

第1回雇用作業部会(2019年2月25~27日)の最終日、会議終了後の17時からという設定にもかかわらず、アルゼンチン、アメリカ、日本など8か国の政府代表に加えて、ILO、OECD、EUの代表、計25名に参加していただきました。ACEから活動概要とG20への要望を発表した後、各国・機関に児童労働への取り組みの進捗状況を報告していただきました。
それぞれの国が児童労働撤廃のために何をしているのか、どんな効果的な取り組みがあるのか、企業はサプライチェーンから児童労働をなくすためにどんなアクションを起こしているかなど、情報交換ができてよかった。そして、次の雇用作業部会でも、児童労働について取り上げたいという意見が出されました。

SDG 8.7 ダイアログ円卓会議の様子

「SDG 8.7 ダイアログ・ディナー」開催(2019年4月23日)@ホテルニューオータニ東京

第2回雇用作業部会(2019年4月22~23日)の際には、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社と株式会社ジャパンタイムズの後援をいただき、夕食をとりながらの対話としました。前回参加のうち7か国と3機関に加えてフランス政府の代表、日本からも連合(日本労働組合総連合会)やJICA(国際協力機構)などの代表者、計44名にご参加いただきました。

SDG 8.7 ダイアログ・ディナーの様子

SDG 8.7 ダイアログ・ディナーの様子

ダイアログ・ディナーは、フランク・オチェレ駐日ガーナ大使からのごあいさつで開会しました。ACEからは、同時期に開催されていた「C20サミット」(4月21~23日)について報告しました。また、C20サミットで発表するために来日していたACEスマイル・ガーナ プロジェクトの共同実施者であるCRADA(Child Research for Action and Development Agency)のナナ・ブレンポン事務局長とともに、プロジェクトの現状とモデルとなる取り組みについても共有しました。
次に、ILOとOECDから、それぞれの児童労働への取り組み、およびG20各国に対して質の高いデータ収集への資金拠出やサプライチェーンにおける取り組み強化の必要性などが発表されました。続いて、各国・機関からコメントをいただきました。児童労働の根本的な要因に取り組み、解決策を実施し続けていくことが重要で、参加者一同努力していこうと締めくくられました。
このダイアログ・ディナーについては、The Japan Timesで報道されました。→報道記事はこちらから

SDG 8.7 ダイアログ・ディナー集合写真

最後のお願いメール

そして、G20サミット直前、首脳宣言を最終化する段階で、2回のダイアログに参加してくださった各国政府代表の方々に、次の文言を首脳宣言に入れてもらえるように、メールで依頼しました。

「我々は、持続可能なサプライチェーンの構築などを通して、児童労働を2025年までに、強制労働、人身取引、現代的奴隷を2030年までに撤廃するよう即時、効果的な行動を起こします」

世界共通の課題には、世界共通の解決策が必要

ACEの活動が、実際に何らかの影響をもたらすことができたのかは、残念ながら分かりません。しかし、G20首脳宣言に引き続き「児童労働撤廃」が明記されたことは重要です。また、今回の一連の活動によって、G20のうち9か国の労働関連の政府官僚、およびILO、OECD、EUの担当者にも、ACEの存在を知っていただけました。

市民社会組織として世界の問題に取り組む以上、世界共通の課題である児童労働に、世界共通の解決策を提案し、実現していかなくてはならないと思っています。そのために、今回構築できた各国政府との関係を維持し、さらに広げていき、グローバルなレベルでのアドボカシー活動を展開していきます。

引き続き、皆様のご支援・ご協力をよろしくお願いします。

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2019.07.17