【ガーナ便り】学用品を受け取ったヘレンさん「将来は医者になって病気のお母さんを診てあげたい」 | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

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【ガーナ便り】学用品を受け取ったヘレンさん「将来は医者になって病気のお母さんを診てあげたい」

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こんにちは!広報担当の赤坂です。

ACEはガーナのカカオ生産地で、危険な労働にさらされている子どもたちを守り、教育を支援する「スマイル・ガーナ プロジェクト」を実施しています。

先月の6月8日から約1週間、ACE代表の岩附と一緒にプロジェクトの進捗状況を確認するための現地モニタリングを実施してきました。今回のガーナ便りでは、村で実施した健康診断プログラムを受けたお母さんのエピソード、学用品を受け取ったヘレンさんのインタビュー、カカオの不作による深刻な状況についてご紹介します。

晴天のもと、実施された学用品贈呈式

児童労働反対世界デーイベント

国際労働機関(ILO)が定めた6月12日の「児童労働反対世界デー」に合わせて、現在プロジェクトで支援している2村合同でイベントが実施されました。そこでは、あらためて児童労働について啓発することに加え、ガーナ健康向上プログラム(GHIP)や学用品の贈呈式がおこなわれました。

イベントの様子

村のチーフたち(右・中央)とACE広報赤坂(左)

ガーナ健康向上プログラム(GHIP)は、年に一度、支援している村へ保健局のスタッフを招き、健康診断の実施と、国の保険制度に加入することを啓発する取り組みです。

ガーナでは、子どもは年間ひとり6セディ(約60円)、国民年金に加入していないおとなは年間ひとり24セディ(約243円)で健康保険制度に加入することができます。カカオ農家にとっては家族全員分の保険料を払うことは決して安くない金額ですが、保険に加入することで治療費が安くなるので、プロジェクトでは加入することを勧めています。

プロジェクトを実施している地域には病院もなく、健康診断を受ける機会もないため、村の人たちにとっては自分の健康状態を知ることができる年に1度の貴重な機会となります。保険制度についての情報を適切に伝えて村の人たちに啓発することで、保険制度への加入率を引き上げ、必要な時に適切な医療にアクセスできるように促すことが、健康診断の目的のひとつです。

当日は大勢の人々がテントの下で順番を待ち、合計230名が健康診断を受けました。中でも印象的だったのが、カカオ農家の女性のゼナブさん親子です。ゼナブさんは4歳くらいの双子の息子さんたちと一緒に健康診断に来ていましたが、息子さんの一人はマラリアに罹患、もう一人はお腹に回虫がいることがわかりました。

また、ゼナブさんに農園での怪我やその対処についてインタビューしたところ、過去に夫が草刈り中にナタで大けがをして2週間歩けず、完治まで1ヵ月要したことがあると聞きました。その際、費用が高いと思い病院には行かず、薬草と薬局で買った抗生剤で対処したそうです。ゼナブさんは、保険料が24セディであることを知りませんでした。地道な活動ですが、GHIPの啓発活動を通じ、医療にアクセスできる人が増えることを願います。

検診を受けるゼナブさん

診断結果に応じて配布された薬

学用品の贈呈式とヘレンさんへのインタビュー

イベントでは経済的に困窮している家庭の子どもたち80名への、学用品の贈呈式も実施されました。それぞれの村の村長から感謝の言葉が述べられ、真新しい制服に身を包んだ子どもたち全員で記念写真を撮影しました。

そこで、新たに学用品を受け取ったヘレンさん(仮名)にインタビューができました。ご両親が離婚し、お母さんと暮らすヘレンさん。以前は時々農園でカカオの実を運んだり、割ったりする作業をしていたそうですが、プロジェクトを通じて、学校に毎日通うようになったとのこと。通学には往復3時間かかり、おとなでも毎日歩くのは大変な距離です。

そして、学用品一式をもらっているはずなのに、制服を着ていないことに気づきました。不思議に思って質問すると、来年の中学進学に備えて今年は辞退、来年の進学時に制服をもらいたいと希望したとのことでした。夜は懐中電灯で宿題をしているという、意思のある力強い目の彼女が印象的でした。将来の夢は「医者」になること。病気のお母さんを診てあげたいのだそうです。

村のボランティアで運営する子ども保護委員会(CCPC)メンバーが、ヘレンさんが児童労働をしているのを見つけたのがきっかけで、今回の支援につながったそうです。CCPCによる児童労働を防止するための見回り活動は、プロジェクトが終了した後も村の力で児童労働を防ぐことができるようにすることが狙いです。見回り活動が定着していることも頼もしく感じました。

CCPCメンバー(左)とヘレンさん(中央)とお母さん(右)

 

カカオの不作とコミュニティのチャレンジ

カカオ豆の価格が世界で急騰し、今年4月には前年の3倍以上の平均価格となったというニュースが日本でも大きな話題になりました。通称「カカオショック」といい、ガーナを含む西アフリカでのカカオの不作が原因です。

カカオの不作に苦しむ農家の現状は深刻で、学校運営委員会(SMC)メンバーの話を聴いている時に、プロジェクトが支援する学校給食の曜日を、水・木・金だけではなく、月・火も負担してくれないかという話がでました。月・火は保護者が費用を負担していますが、カカオの不作により支払うことができない家庭が増えているということでした。

学校運営委員会のメンバー5人全員がカカオ農家だったので、実際にどれくらいの不作なのか、一昨年と昨年の収量の変化を聞いてみました。すると、5人中5人とも収量が減少しており、そのうち4人は昨年の半分以下に減少したとのこと。9袋(※カカオの麻袋1袋は64キロ)とれていたカカオが1袋に減ってしまった人もいて、状況は深刻でした。

カカオの価格は上昇しているものの、それを上回る収量の減少と、物価上昇率38.1%(2023年ガーナ統計局)というハイパーインフレにより、カカオ農家の生活はひっ迫しているのです。

目を覆うような状況ですが、かといってすべてを支援すると持続性の問題も出てきます。
週に2日分は保護者が負担するようにしている理由は、プロジェクトからの支援に依存するのではなく、年ごとに自己負担の割合を増やしていくことで、プロジェクト完了後も保護者や住民によって給食を継続できるようにするためだということを、あらためて確認しました。

すると、学校運営委員会のみなさんは、子どもが学校に通うことは重要なことなので、毎月給食代を回収するのではなく、カカオ収穫期のはじめに一括して回収するという工夫をしますと約束してくれました。不作で苦しい状況ではありますが、なんとか子どもが継続して学校に通うことができるように、学校運営員会も真剣に取り組んでいます。

学校運営委員会のみなさんとの対話

ACE代表岩附と村の子ども

カカオショックにより、ガーナでの児童労働のリスクの高まりが大きく懸念されています。このような背景から「スマイル・ガーナ プロジェクト」の重要性は益々高まるものだと現地で感じました。この活動はみなさまからの寄付で実施されています。あらためて感謝をお伝えするとともに、より一層のご支援とまわりの方々への呼びかけを心からお願いいたします。

楽しそうに授業を受ける子どもたち

広報担当 赤坂友紀

ガーナの子どもたちを笑顔にするために
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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2024.07.24