【沖縄便り】「自由でいいんだよという権利があってうれしかった」小学校で子どもの権利ワークショップ

【沖縄便り】「自由でいいんだよという権利があってうれしかった」小学校で子どもの権利ワークショップ

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こんにちは、4月から沖縄プロジェクトを担当している上村です。

ACEは2022年から沖縄で、子どものウェルビーイング向上をめざし地域単位でその実践の輪を広げる取り組みを行う「沖縄うまんちゅ子どもの権利推進プロジェクト」を行っています。4月からはほぼ毎月、沖縄県での研修会の開催や関係機関とのネットワークづくりなどのプロジェクトを行っていますが、6月には、県内の小学校で子どもの権利のワークショップを実施してきました。今回の沖縄便りでは、ワークショップの内容や、実施した小学校の子どもたちの声をご紹介します。

わたしらしさを大切にする子どもの権利ワークショップ

2024年6月27日~28日、沖縄の子どもたちに「子どもの権利」を直接伝えるための活動として、うるま市の小学校2校の5年生と6年生に「わたしらしさを大切にする子どもの権利ワークショップ」を実施しました。

このワークショップでは、授業の冒頭で「この場にいる全員が大切な存在だ」と伝え、みんなが安心して授業に参加できるように5つの約束を紹介してスタートします。

内容は、3つのパートに分かれています。

1つ目のパート「感じてみよう!わたしの気持ちと願い」では、共感的コミュニケーションの考え方を取り入れて、一人一人が持つ「気持ち(感情)」とその奥にある「大切にしたい願い(ニーズ)」を探します。

2つ目のパート「知ろう!子どもの権利ってなんだろう?」では、国連「子どもの権利条約」と日本で制定されたばかりの「こども基本法」を紹介し、事例を通じて子どもの権利にはどんな権利があるかを学びます。

3つ目のパート「表現しよう!わたしの権利のためにどんなことができる?」では、子どもの権利条約の「第12条 意見を言い、尊重される権利」について説明し、自分の気持ちと願いを大切にする、自分らしいメッセージをつくることにチャレンジしてもらいます。

2023年6月に完成したこのワークショップですが、今回は、今年2月に別の小学校の5年生に実施した後、より内容を改良、再構成して臨みました。

そんな経緯もあり授業中の子ども達の反応をキャッチしながら、休憩時間にもスタッフ同士で対話し、より伝わりやすい表現と構成をその場で組み立て直しながら進めました。新しく入れた親子あるあるエピソードのロールプレイ実演は思いのほか盛り上がり、「面白かった」という感想をたくさんもらえ、素直で力強い子どもたちのリアクションにこちらもたくさん元気をもらいました。また、聞きなれない「子どもの権利条約」の言葉も一生懸命ききとり、関心を持って参加している様子が印象的でした。

アンケートを書いてくれた子どもからの、「権利があるだけで安心する事ってあるんだなと思った。」という回答からは、「子どもの権利」を地道に一人ひとりに伝えていくことの大切さを教えてもらいました。

「自分にも権利があってなんか、ほっとしたし、とてもよかった」授業に参加してくれた子どもの感想

授業後のアンケートの質問「自分に『権利』があると思うとどんな気持ちになりますか?」に多かった回答は、「安心する」「うれしい」「ほっとする」でした。他、「気持ちが少し楽になる」「こんなにいっぱいあると思うとびっくりした!」「むねをはれる」 という気持ち、また「権利があるとみんなが心地いいくらしができる。なぜかというと、平和になりそうだからです。」と書いてくれたものもありました。

45分授業2時限分の、集中力の必要な授業でしたが、最後に記入してもらったアンケートには、たくさんの回答がありました。その中から一部、子どもたちの感想をほぼ原文のままご紹介します。

「今日の授業で子どもにもたくさんの『権利』があることをはじめて知りました。また『権利』には、休む遊ぶ『権利』もあることにおどろきました。前までは自分の意見をはずかしくてあまり意見がいえなくて不安だったけど今日授業をして、『表現の自由』を学んで、言いたいことや言いたくないことは自由でいいんだよという権利があってうれしかったです。」

「すごく安心な気持ちになりました。前までは怒ることや泣くことは悪いことだと思っていたけど、子どもにも権利があると知ったので、これから思ったことや感じたことは言えるようにがんばります。」

「みんなには選ぶ権利があると思って、みんなの意見がちがっても、みんなと同じようにしなくてもいいと思った。」

「いままで、自分に権利があることが分かってなかったから、この授業で自分にも『子どもの権利』があるのが分かりました。権利はおとなにしかないことだと思っていたからびっくりした。」

「これまでは『口ごたえする権利はない』と『権利』はマイナスなイメージだったので今日の権利をきいて、自分たちにも自分の意見を言うことが悪いことじゃないと思って、これからは自分の意見をハッキリ言い、友だちの意見を尊重するということが今日の話であらためて分かりました。」

また、先生からのアンケートでは、「『権利」についての内容が難しいと感じた』という声もありましたが、子どもたちが子どもの権利を自分ごととして感じられた手ごたえを共有でき、「今後も継続的に取り組みたい」「次年度も授業をお願いしたい」という声をいただくことができました。

うるま市内全小学校の子どもたちに授業を届けるために

この取り組みは、沖縄県で活動するNPO法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆい、一般社団法人URUFULLとの協働「沖縄うまんちゅ子どもの権利推進プロジェクト」の活動のひとつです。子どもの権利が守られる社会になるために、おとな向けには「子どもの権利実践研修」を開発、実施しています。同時に、子どもたち本人が「子どもは、親やおとなの所有物でも付属物でもなく、1人の人間であり権利の主体である」ということを知り、アクションしていけるように、子ども達に直接「子どもの権利」を伝えるこのワークショップを展開しています。うるま市内全小学校の子どもたちに授業を届けることを目標に、これからも実施していきますので見守りよろしくお願いします。

「沖縄うまんちゅ子どもの権利推進プロジェクト」は、沖縄県の子どものウェルビーイング向上のための活動ですが、ACEでは沖縄のみならず、ガーナ、また日本国内で、子どもの権利を擁護するさまざまな取り組みを行っています。

こうしたACEの活動は、みなさまからのご寄付で支えられています。今後とも、こういったワークショップ、プログラムを多くの子どもたちに届けるために、引き続き暖かいご支援をよろしくお願いします。

参考

過去の「沖縄うまんちゅ子どもの権利推進プロジェクト」の研修の様子はこちらから
【開催報告】子どもの権利実践研修「ここからはじめる、子ども支援 ~改めて知っておきたい、子どもの権利と子どもとのコミュニケーションのこと~」

過去の「わたしらしさを大切にする子どもの権利ワークショップ」についてはこちら
日本の子どもたちの「子どもの権利」を守るための活動「わたしらしさを大切にする子どもの権利ワークショップ」開発中

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2024.08.21