2024年10月31日
【岩附通信vol.45】国連未来サミットに参加してきました!
9月も終わりを迎え、今年が残りあと3か月しかないなんて信じられないと思っている岩附ですがみなさんはいかがお過ごしでしょうか。
ご支援・ご協力をいつもありがとうございます。
2024年9月22日、23日にニューヨークの国連本部で開催された国連未来サミット(Summit of the Future)に参加してきました。
参加、といっても、今回は傍聴するのみ。
基本的にこの2日間は国連加盟政府が中心となる会議で、この前の9月20日、21日がAction Daysと位置付けられ、今回のサミットの内容と関連する様々なイベントが国連本部内で開催され、そちらにも参加してきました。
実は、ACEは国連の経済社会理事会(ECOSOC、エコソックと呼んでいます)の協議資格を持っています。
特殊諮問資格(Special Consultative Status)というもので、市民社会組織として国連の会議への参加、議論への参加が許される資格です。
国連本部に常日頃からアクセスできるグラウンド・パスも申請すればもらえるのですが、ニューヨークに拠点もなく、こうした特別な会議の際に年に1回行くか行かないかのため物理的にアクセスすることは少ないのですが、国連事務局から様々な案内がメールで来ます。
そうした案内に応募して、昨年はオンラインで2023年のSDGsサミットの成果文書へのインプットを行う貴重な機会を得ました。https://acejapan.org/info/2023/06/349400
昨年9月の国連SDGsサミットは市民社会組織が会議場内に入ることがほとんど許されなかったそうなのですが、今年のSummit for the Futureは、可能な限り市民社会組織にも開こうという努力が随所にみられました。
ECOSOC協議資格の有無にかかわらず、事前登録・応募をしたら参加できる形になっていたり、各セッションでの発言の機会について、発言したいリクエストを出すことができたりしました。
私も申請はしたのですが狭き門で得られず。
私が副理事長を務める国際協力NGOセンター(JANIC)が会議直前に発言権を得られたのですが、残念ながら会議が時間切れとなって、その場での発言の機会が得られず、書面で発言内容が残るということになりました。
この未来サミットが開かれた背景には、2020年の国連創設75周年にあたり、コロナ・ウィルスのパンデミック等、あらたなリスクや脅威に対応するためのグローバルな協力への提言や、未来を見据えたサミットを2024年に開催する提案を盛り込んだ事務総長報告書「私たちの共通の課題(Our Common Agenda)」がありました。
この報告書をふまえて、未来サミットの主な議題は、持続可能な開発と資金調達、平和と安全、すべての人々のためのデジタルの未来、若者と将来世代、グローバル・ガバナンスとなっていました。
国連は大きな課題いま直面しています。安全保障理事会の常任理事国であるロシアが他国の侵略を行っているという現状、そしてパレスチナも含めて戦争が起きてしまっている現実、さらには、気候変動やデジタルAIといった新しいチャレンジ・可能性を秘めたものまでを含め、そうした新しい課題についてより積極的な取り組みができるよう、まとめられた文書が「未来のための協定書」です。
付属文書として「グローバル・デジタル・コンパクト」および「将来世代に関する宣言」も採択されました。
こうした国連文書に、児童労働に関する記述がちゃんと記載されるかどうかが、私たちACEの関心事項です。
結果的に、「強制労働を根絶し、現代の奴隷制と人身売買、特に女性と子どもの人身売買を終わらせ、あらゆる形態の児童労働を撤廃するために、国際的、地域的、国内的な取り組みを強化する」という文言が入ったので、世界の課題として児童労働がきちんと認識され続けていることが確認できました。
今回この「未来のための協定」を読む中で、今まで国連の文書では見たことがあまりなかった気がするなと思った文言があります。
”Turbocharge”(ターボチャージ)と言う言葉です。このターボチャージと言う言葉はケンブリッジ英英辞典で調べると「何かを通常より速い速度で成長させたり、増加させたり、何かをより効果的にすること」とのこと。
これまで滞ってきてしまったものを一気に加速させるとか、エネルギーを蓄えてさらに進めるといったような意味が込められていますが、まさにSDGsのターゲットの15%しか順調に推移しておらず、残りが期限までにほぼ達成困難と言われている中、そして平和と安全に関する課題についても、そして必要な資金を動員し、多国間の協力を強化することが必要になってきています。
児童労働の撤廃に向けての努力も、まさにTurbochargeが必要な現状です。
様々な関係者の力を引き出していけるよう、グローバルレベルでのアドボカシーになお一層力を入れていきたい、と感じた国連総会となりました。
2024年9月30日 ACE代表岩附由香
※「岩附通信」は、会員・子どもの権利サポーターの方の特典として毎月1回配信しているコンテンツですが、配信から一カ月以上が経過したものを代表ブログにて一般公開しています。