国連ハイレベル政治フォーラムに参加しました

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国連ハイレベル政治フォーラムに参加しました

国連ハイレベル政治フォーラム(High Level Political Forum=HLPF)が2019年7月8日~19日にニューヨークにて開催され、ACEからもガーナ・プロジェクト マネージャーの近藤が7月15日~18日に参加してきました。国連ハイレベル政治フォーラムは、「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向けて、世界各国での取り組みや進捗状況を把握し、成果や課題などについて話し合う会議で、2013年以降毎年開催されています。政府や国際機関だけでなく、民間企業やNGOなども多数集まります。

2019年のハイレベル政治フォーラムのテーマは「人びとのエンパワーメント、および包摂性と公平の確保」。SDGsの17の目標のうち「4(教育)」「8(働きがいと経済成長)」「10(平等)」「13(気候変動対策)」「16(平和と公正)」「17(パートナーシップ)」の6つについて、これまでの成果や課題について確認しました。「児童労働撤廃」が含まれている目標8が取り上げられることから、情報収集や関係者とのネットワーク構築を図ることを目的にACEも参加しました。

本会議:ガーナ政府が児童労働撤廃の国家計画について報告
自発的国別レビューの発表を2階から傍聴

自発的国別レビューの発表を2階から傍聴

ハイレベル政治フォーラムの本会議では、47か国が自国での取り組み状況について報告しました(自発的国別レビュー:VNR=Voluntary National Review)。これは、SDGs達成のために、各国での経験を国際社会と共有するために行われます。これまでに合計111か国が報告を行い、日本も2018年の会議の際に行っています。

今年はACEが活動しているガーナの政府が発表をしました。目標8の児童労働に関して、「児童労働の撤廃の国家計画フェーズ2」を策定し、それに基づく事業を実施していることを報告しました。ACEはこの計画に書かれている「チャイルドレイバー・フリー・ゾーン(児童労働のない地域)」認定制度の構築をガーナ政府とともに行っています。(チャイルドレイバー・フリー・ゾーン(児童労働のない地域)」認定制度の最新の取り組みについてはこちらから:【ガーナ便り】発効に向けた、最後の全国会議を開催!チャイルドレイバー・フリー・ゾーン認定制度、いよいよ大詰めです!

ハイレベル政治フォーラムでは、本会議だけでなく合計253のサイドイベントやパラレルイベントも行われました。ACEが登壇・参加したイベントから3つ報告します。

SDGs市民ネットワーク主催のイベントに登壇(2019年7月15日)
「G20の成果に対する市民社会の評価」
左から2人目がACEの近藤

イベント登壇者(左から2人目がACE近藤)

このイベントでは、2019年6月に開催されたG20サミットでの「G20大阪首脳宣言」を、世界の市民社会組織がどう評価したかを報告しました。

2019年6月に開催されたG20大阪サミットに関連して、世界の市民社会組織は各国政府に対して政策提言を行いました。開催国の日本では、SDGs市民ネットワークと国際協力NGOセンター(JANIC)がCivil 20(C20)の事務局となり、ACE代表の岩附が議長を務めました。(C20の活動について詳しくはこちらから:Civil 20(C20)開催~世界の市民社会組織からG20への政策提言~

イベントではまず外務省の地球規模課題総括課長が基調講演をし、市民社会からの政策提言や協力に対して謝意が述べられました。

次に、C20からG20の成果に対する評価を発表しました。C20は、「首脳宣言」の公表後すぐに、市民社会の視点から評価した「緊急声明」を発表しています。その中から、今回のハイレベル政治フォーラムのテーマであるSDGsの6つの目標に関して、それぞれの評価内容を発表しました。ACEは目標8に含まれている児童労働について発表し、「首脳宣言」の中に児童労働撤廃が明記されたことを評価する一方、その実現のためにG20の関係国が具体的な行動をとるべきであることを述べました。

閉会のあいさつは、次期G20開催国であるサウジアラビアのC20の代表が行いました。日本の市民社会の貢献に感謝し、次年度も引き続き市民社会がG20に貢献することを表明して終わりました。

Alliance 8.7主催のイベントに参加(2019年7月17日)
“Accelerating action to end forced labour, human trafficking, modern slavery and child labour; experiences from Alliance 8.7 pathfinder countries”

Alliance 8.7のイベントの様子アライアンス8.7(Alliance 8.7)とは、SDG の目標8、ターゲット7の「児童労働、強制労働、現代の奴隷制、人身取引の撤廃」を達成するためにILO(国際労働機関)が促進している、グローバルなパートナーシップです。現在、17か国がパスファインダー国(アライアンスのメンバーであり、目標の達成を推進する責任を持つ国)として、SDG 8.7達成のために連携し、新しいアプローチを模索し、取り組みを強化していくことを表明しています。そして、228の国、国際機関、地域機構、労働組合、市民社会組織などがアライアンス8.7のパートナーとなっています。ACEもパートナー団体です。(アライアンス8.7について詳細はこちらから:Alliance 8.7(英語サイト)

このイベントでは、パスファインダー国の中からウガンダ、チリ、ネパール、ペルーの4か国がそれぞれの取り組みについて発表しました。ペルー以外の3か国では、SGDsの目標8.7にかかわる戦略ワークショップを実施し、行動計画を策定したことが発表されました。

続いてイギリス、オランダ、フランス、IOM(国際移住機関)、EUなどが、児童労働や強制労働撤廃のために拠出している資金額や実施しているプロジェクトなどについての発表を行いました。具体的には、英国が強制労働の問題への取り組みを中心としたプラットフォームの立ち上げたこと、オランダが産業別(カカオ、コットン)にプロジェクトを推進していることなどを紹介しました。

ウォーク・フリー財団主催のイベントに参加(2019年7月17日)
“Measurement, Action, Freedom; an independent assessment of government progress towards achieving UN Sustainable Development Goal 8.7. Report Launch Event”

ウォーク・フリー財団主催のイベントの様子ウォーク・フリー財団(Walk Free Foundation)は、現代奴隷に取り組んでいるオーストラリアの団体です。以前から、アドボカシー活動でACEと情報交換をしていたことから、イベントに招待されました。

このイベントは、現代奴隷に対しての取組状況を国別にまとめ評価した報告書の発表記念として開催されました。

特に強調された内容は、次の3点です。

  • 政府が十分に役割を果たしていない。何百万もが人身取引や現代奴隷の被害者になっている。
  • 2030年までにすべての現代奴隷をなくすためには1日1万人を救出する必要がある。
  • 市民社会は、現代奴隷を無くすために、データ収集や統計の改善や具体的な行動を政府に求めていく必要がある。

*発表された報告書(英語)はこちらから:“Measurement, Action, Freedom”

パネルトークにはイギリス政府、オーストラリア政府、ケニアで人身取引や現代奴隷に取り組むNGO、ウォーク・フリー財団から代表者が登壇しました。アフリカやアジアにおける現代奴隷は深刻な状況ですが、その搾取構造に多くのグローバル企業が関わっています。先進国政府やグローバル企業が、率先してこの問題を解決する必要があることが確認されました。

 

上記のほか、「ILO100周年記念レセプション」「日本政府による歓迎レセプション」などにも参加し、世界各国からの参加者との情報交換やネットワーキングを行いました。

今回のハイレベル政治フォーラムに参加して、児童労働撤廃を含むSDG 8.7sへの関心は高いと感じました。Alliance 8.7主催のイベントへの参加者は多く、質疑応答や議論が活発に行われました。世界の児童労働をなくすために、Alliance 8.7を通じて世界のステークホルダーと協力して行くことが重要だと改めて実感する機会となりました。これまで一緒に活動を行ってきた「児童労働に反対するグローバルマーチ」、ILO、国際会議などで知り合った各国NGOなどとの交流をさらに深めながら、新たに出会った同じ志をもつ世界の仲間たちと共に、SGDsの目標8.7の達成に向けて活動を続けていきます。

今後ともご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

         

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2019.07.30