【ガーナ便り】再び人身取引の被害にあわないために~支援地で保護されたアビゲイルさんのその後~ | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

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【ガーナ便り】再び人身取引の被害にあわないために~支援地で保護されたアビゲイルさんのその後~

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こんにちは!ガーナ担当スタッフの赤堀です。7月末まで実施したクラウドファンディングでは、ご寄付や拡散にご協力いただき、誠にありがとうございました!みなさまからいただいたお気持ちをしっかりと活動に注入し、子どもたちが児童労働から守られる環境づくりを進めていきます!
今回は、人身取引の被害にあい、ガーナ北部から連れてこられたアビゲイルさん(仮名)についてお伝えします。アビゲイルさんの人身取引については、以前ガーナ便りでもお伝えさせていただいていましたが(※1)、その後進展がありました。

故郷の村に帰りたい

人身取引の加害者から逃げ出し、プロジェクトの支援する村で保護されたアビゲイルさんは、彼女の生活を支援することを申し出てくれた村の女性と1年半ほど一緒に暮らしていました。
当初は女性とその家族と生活を続けることを希望していましたが、次第にこの女性の家で生活を続けることへの考えが変化し、故郷にいる父親が病気がちなことも気になり、故郷に帰ることを希望するようになりました。また、将来のために縫製を学ぶことも希望していました。


一方、警察と郡の社会福祉局はアビゲイルさんの故郷の村と家族を突き止め、プロジェクトの後方支援の下、家族の経済的状況と、彼女が戻れる状態なのかを確認しました。アビゲイルさんの家族はお米とトウモロコシを栽培している農家で、実の父、継母、5人の弟と妹で暮らしており、経済的に困窮している状態でした。また、父親は人身取引の加害者の男性とアビゲイルさんとの結婚について合意し、男性との間で資金のやり取りがありました。
アビゲイルさんはプロジェクトスタッフと社会福祉局からこのことを知らされましたが、それでも故郷に戻ることを希望しました。

このため、アビゲイルさんを家族のもとに戻すには、故郷の村と家庭内で、彼女が再び人身取引の被害にあわない環境を作る必要がありました。そこでプロジェクトでは、プロジェクト実施地とアビゲイルさんの故郷の両方の郡の社会福祉局と話し合い、アビゲイルさんを故郷に戻すまでの活動内容とスケジュール、各自の役割と負担すべき費用について合意を取り付けました。

具体的には、アビゲイルさんが村に戻る前に故郷の村で以下の活動をし、彼女が安全に暮らせる環境づくりをしました。
・ アビゲイルさんの家族と村の住民を対象にした、児童労働や人身取引が子どもに及ぼす影響についての啓発ワークショップの実施
・ 子ども保護委員会(以下、CCPC)の組織化と研修の実施
・ アビゲイルさんが縫製の職業訓練を受ける機会の確保(プロジェクトにて職業訓練を受け入れている仕立て屋を見つけ、アビゲイルさんの受け入れ手続きを実施)


1年半ぶりの家族との再会、そしてこれからの暮らし

上記活動を実施してから1か月ほどCCPCの活動が継続していることを確認した後、現地パートナー団体スタッフが同行してアビゲイルさんは故郷の村に戻ることができました。

1年半ぶりの家族との再会で、アビゲイルさんは緊張している様子でしたが、社会福祉局、現地パートナー団体スタッフ、村の長老たちとアビゲイルさんの家族で輪になって座り、アビゲイルさんが安心して暮らせる環境を作っていくことを村長から聞き、少しずつ表情が柔らかくなっていきました。

アビゲイルさんの父親は、再び人身取引に加担しないこと、また、今後アビゲイルさんの生活を保障することを約束する覚書を社会福祉局との間で結びました。また社会福祉局には、アビゲイルさんが縫製を学び終えるまでの3年間、村のCCPCの活動状況や彼女の状況をモニタリングし、私たちに定期的に報告してもらうことになっています。

また、プロジェクトからはアビゲイルさんに縫製の訓練に使用するミシンと制服を、訓練してくれる先生には訓練費用を支援しました。現在、アビゲイルさんは縫製の訓練に通い続けており、CCPCも村の見回りを続けています。今後も現地の社会福祉局と連絡を取り合いながら、彼女が縫製の訓練を終了するまで、しっかりと見守っていきたいと思います。

おわりに

今回のケースを通して、ガーナでは、いまだに子どもの人身取引に該当するようなことが起きており、実際に子どもが被害にあった場合には、子どもを守り、安全な環境を確保するための体制がまだまだ整っていないことを改めて感じました。
例えば、行政が運営する子どもを保護する施設(シェルター)がなかったり、郡の社会福祉局が被害にあった子どもやその家族についての調査をしたり子どもが親元に戻るために必要な活動を実施するための資金が確保されていなかったりというのが現状です。そのため、子どもの安全や生活を確保したり、親元に返したりするために必要な費用のほとんどを私たちのプロジェクトで支援しなければなりませんでした。

子どもを保護する行政の役割がしっかりと機能するように、これら行政が抱える課題については、管轄するガーナの中央政府機関に提言をまとめて提出し、現状の理解と課題への対応を求めていきたいと思います。

プロジェクトでは、今後も子どもの権利と尊厳が守られる環境づくりを行っていきます。今後とも、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

ガーナ担当 赤堀 友希

※1【ガーナ便り】自分の意志とは関係なく家族から離される子どもたち~ガーナでの人身取引について~ | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース) (acejapan.org)

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2023.08.22