【ガーナ便り】コミュニティレベル・郡レベルで児童労働をなくす仕組みづくり | 世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)

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【ガーナ便り】コミュニティレベル・郡レベルで児童労働をなくす仕組みづくり

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みなさん、こんにちは!いつもACEの活動への温かいご支援をいただき、誠にありがとうございます。ガーナ担当スタッフの赤堀友希です。

突然ですが、先月(2021年6月)約3週間、ガーナへ行ってきましたので、その様子をお伝えさせていただければと思います。今回の渡航は、ACEの「スマイル・ガーナ プロジェクト」としてではなく、ガーナの児童労働についてのJICA(国際協力機構)の調査としての渡航でした。

(参考)ガーナの児童労働についてのJICAの調査プロジェクトを受託、CLFZ制度推進に新たな一歩

CLFZ認定制度の仕組みの構築支援のためのガーナ渡航

ACEとしては新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以来、初めてのガーナ渡航となり、コロナ拡大前とは全く異なった渡航日程となりました。日本出国前のPCR検査から始まり、ガーナ到着後は空港でのPCR検査で陰性を確認し、ガーナ政府からの要請に沿って首都アクラのホテルで10日間の自主隔離を行いました。隔離3日目にも再度PCR検査を行い、11日目にようやく調査を開始しました。

今回の調査は、「チャイルドレイバー・フリー・ゾーン(児童労働のない地域)」(以下CLFZ)認定制度をはじめとした、児童労働撤廃に向けたガーナ政府の取り組みへの協力の一環として、必要な情報を収集・分析することを目的としています。

CLFZは「児童労働の問題が起きたとしても、総合的なアプローチで問題を解決するための仕組みが存在し、機能している地域」と定義され、CLFZとして満たすべき郡レベルとコミュニティレベルの条件を満たすと、ガーナの雇用労働省よりCLFZと認定されます。ACEは2018年からそのガイドライン作りにかかわってきました。

この制度のガイドライン文書には、郡レベルとコミュニティレベルで満たすべき条件、CLFZ認定のための審査方法や指標、制度運用のための関係者(政府・行政機関、NGO、メディア等)の役割などが定められているのですが、具体的な実施方法が示されていません。このため、実際にこの認定制度を実行するために、中央レベル、郡レベル、コミュニティレベルで必要な仕組みの構築支援をするのが、主な調査内容です。

現地パートナーによるコミュニティでの
ベースライン調査(後述)の様子①

現地パートナーによるコミュニティでの
ベースライン調査(後述)の様子②

中央レベルで、評価ツールを作成

今回の渡航では、先ず、6月21日と22日の2日間で、中央レベルでの取り組みとして、CLFZ認定制度の構築を担当している作業委員会メンバー、雇用労働省、および同省傘下の児童労働ユニットのメンバーとともに、評価ツールの開発にかかるワークショップを行いました。評価ツールは、郡レベルとコミュニティレベルで満たすべき条件がどれほど満たされているのかを評価するためのツールで、コミュニティや郡での聞き取りや少人数でのディスカッションで使用する質問票を作成しました。実際に質問票を作成したことで、評価過程の具体的なイメージを共有することができ、評価をする際の留意点などをまとめた評価のためのガイダンスを作成する必要性が確認されました。

評価ツールに関するACE白木の発表

グループに分かれて質問票を作成中

評価ツールについて議論中

中央レベルセミナーの参加者

郡レベルで、各セクター担当局の取り組み内容を確認

6月24日と25日には、調査の対象地域であるカカオ生産地の2つの郡(A郡とB郡)それぞれでワークショップを行いました。
ワークショップでは、郡の各担当局が取り組むことになっている児童労働にかかる活動状況や、コミュニティの学校の現状、予算制度の仕組みなどが報告されました。児童労働にかかる活動は、社会福祉・コミュニティ開発局、教育青年スポーツ局、農業局、など、多くのセクター担当局が関わるため、各局間や、郡のコミュニティで活動している外部パートナー(国際援助機関、NGO等)との情報共有・連携が重要になることが確認されました。

また、ワークショップの実施に先立ち、各郡にて実施したコミュニティのベースライン調査の結果について、児童労働に関する取組み状況をレベル分けして報告しました。今後は、この結果を基に、各郡から約10のパイロットコミュニティを選定し、コミュニティレベルでの仕組みの構築支援にも取り組む予定です。

ベースライン調査の結果発表

各セクター担当局からの現状報告

A郡でのセミナーの参加者

B郡でのセミナー参加者

CLFZ認定制度が設置されたのは世界中でガーナが初めての事例です。これが実際に運用されれば、コミュニティごと・郡ごとでの児童労働に対する取組みのレベル感や、どの項目の取り組みが弱いのかが分かるようになります。そうなると、ガーナ政府機関や外部パートナーは、児童労働の撤廃にむけて優先的に取り組むべき地域や内容を特定することができるので、より効率的な活動ができるのではないかと考えています!

ACEの「スマイル・ガーナ プロジェクト」でも、CLFZ認定のための条件を満たせるよう、認定制度の評価指標に沿って来年度の活動計画を作成する予定です。CLFZ認定制度が、コミュニティレベル・郡レベルで児童労働をなくすための有効なアプローチになることを目指して、邁進していきます!引き続き応援いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします!

ガーナ担当 赤堀 友希

ガーナの子どもたちを笑顔にするために
応援よろしくお願いします!

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2021.07.19