2023年ACEの活動ハイライトと冬募金のお願い

2023年ACEの活動ハイライトと冬募金のお願い

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12月を迎え、早いもので今年も残すところあと一週間を切りました。この一年ACEの活動を支え、応援してくださったみなさまに、改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

冬募金にご協力をお願いします!

ACEは2023年もさまざまな活動を行ってきました。

ガーナの支援地では学用品や給食の支援によって子どもの出席率が100%に改善されました。インドのプロジェクトは無事に終了し、今後の活動を現地住民に引き渡すことができました。日本国内でも、子どもの権利を守るための各地での活動がより活発化したり、企業や専門家と連携して開発したACEオリジナルチョコレートが発売されたりと、多岐に渡る活動において進展がありました。

本ページに2023年下半期の活動報告をまとめましたので、ぜひお読みください。

2024年はこれらの活動をより加速させていくほか、ガーナでの「児童労働フリーゾーン」認定制度の普及に向けた活動に注力し、大きなインパクトを出せるように取り組んでいきます。

ACEの活動は、みなさまからのご寄付に支えられています。児童労働を生み出さない社会を実現するために、ご寄付での応援を、どうぞよろしくお願いいたします!

ご寄付のお申込みはこちらから

※認定NPO法人であるACEへのご寄付は、税額控除・寄付金控除の対象となります。

2023年下半期(2023年6月~12月)の活動報告

ガーナ・カカオ生産地での スマイル・ガーナ プロジェクト

コミュニティの住民が児童労働をなくし、教育環境を改善するための仕組みづくり

支援している2つの村で子ども保護委員会(住民ボランティアグループ)を組織化し、村の中での見回り活動を支援しています。

委員会のメンバーは、学校の時間に子どもが働いていないか、しっかり学校へ行っているかを確認するために村の中を見回り、学校に行っていない子どもがいたら、家庭訪問をします。

委員会のメンバーの一人は、「この村の子どもに立派なおとなになってほしいという思いが、見回り活動をするモチベーションになっています。」と語ってくれました。 

自転車で子どもの見回りをする子ども保護委員会のメンバー

経済的に困窮した家庭の子どもへの学用品の支援

2023年8月、経済的に困窮した家庭の子どもたち66人に学用品のセットを支援しました。学用品セットには、制服や靴下、靴、鞄、えんぴつ、消しゴム、ノートなどの筆記用具などが含まれています。

学用品を受け取った子どもたちは、児童労働をしていたり、学校に行っていなかったり、学校には登録しているけど休みがちな子どもたちです。

学用品を受け取った子どもとその保護者は、毎日学校に通うこと、そして保護者は、子どもが学校に通うことを阻害したり、安全を損なったり、身体に負担をかけるような労働を子どもにさせないことを約束しました。

支給を受けたリュックを背負って登校する子ども

子どもたちは約束通り毎日学校に通うようになり、8月末以降、学校の出席率は100%が維持されています。

また、10月から開始した学校給食の運営支援の影響もあり、学校に来る子どもの数が増えています。 

詳しくはこちら 【ガーナ便り】学用品と学校給食で出席率が急激に向上!「医者になりたい」夢を見つけたナンシーさんの話

みんな食べ盛り!この日のメニューはお米とトマトシチュー。

カカオ農家への収入向上支援 

カカオ栽培と稲作の技術研修を実施するため、講師として招くガーナココア協会(COCOBOD)と郡の農業局と一緒に研修内容についての協議を行いました。想定以上に協議に時間がかかったため、技術研修の開始は2024年1月以降となりそうです。

ガーナで「児童労働フリーゾーン」を実現させるための取り組み

ガーナ政府が推進する「児童労働フリーゾーン」認定制度の普及に向けた、政府、行政、企業、国際機関、NGO等の連携促進

ガーナ政府関係者に対し、「児童労働フリーゾーン(CLFZ)ガイドライン」の改訂に向けた技術支援を行い、改訂版CLFZガイドラインの完成に貢献しました。また、改訂されたCLFZガイドラインを踏まえて、CLFZ普及に向けた研修用教材の内容の改訂も行いました。その他、国際機関等が主催するウェビナーへの登壇や、海外の団体が実施する調査やヒアリングへの協力を通じて、特に海外の関係者に対するCLFZの理解促進に貢献しました。

詳しくはこちら

インド・コットン生産地でのピース・インド プロジェクト

児童労働のリスクがある子どもの保護とすべての就学年齢(6~14 歳)の子どものための教育支援と、義務教育を受けていない子どもへの職業訓練支援

2010年に開始したピース・インド プロジェクトは2023年8月をもって終了し、児童労働を守るための活動は現地パートナー団体と住民に引き継がれました。プロジェクトを通して、6~14歳の952人の子どもが児童労働から解放され教育を受けられるようになるとともに、公立学校の教育環境や教員の質の改善、子どもたちの就学支援など、3,500人以上の子どもの教育を支援しました。

ブリッジスクールで授業を受ける子どもたち

また、義務教育を受けることができなかった15~17歳の女の子を対象とした基礎教育と職業訓練の提供によって、325人の女の子が経済的に自立し、安全な環境で生計を立てることができるようになりました。さらに、女の子の待遇に関する啓発活動や研修の継続によって住民の意識に変化が生まれ、児童婚や女子差別が減少しました。

子どもたちからは、「働くのをやめて学校に通うようになり、親がお風呂に入れてくれたり、朝ごはんを用意してくれるようになりました」「女の子に対する村の人たちの意識が変わり、特に親の考え方が変化したと思います」という声が聞かれています。

︎児童労働のない村の仕組みづくりと地域の児童労働対策強化への働きかけ

住民ボランティアグループの組織化によって、村における見回り活動や家庭訪問、住民の集会が定期的に行われています。子どもの権利や教育に関する住民への研修や意見交換を通して、住民の子どもの教育や健康・衛生に対する意識変化がもたらされました。6つのコミュニティにおいて、住民ボランティアグループを中心として住民自身の力で「児童労働のない村」を維持する仕組みを構築してきました。

ボランティアグループのメンバーからは、「今後も子どもの権利を守りたい」「住民の意識向上を続けることによって、子どもが学校に行き続けることができる」という声が聞かれ、グループの活動に意義を感じ、今後も活動を継続したいと力強く話してくれています。

今後はテランガナ州で活動する他の住民ボランティアグループとの交流や意見交換を通した横のつながりを強化し、グループの活動を継続的に実施していきます。

プロジェクト評価

ピース・インド プロジェクトを実施してきた全てのコミュニティで、受益者とステークホルダーに対する個別インタビューとグループディスカッションを行い、プロジェクト評価を行いました。(調査対象:子ども(6~14歳)/思春期の女の子(15~17歳)/子どもの親/収入向上支援を受けた親/住民ボランティアメンバー/教員/地域の看護助産師/行政担当者など)

受益者ごとに個別インタビューを作成し、これまでプロジェクトを行ってきた全ての村における実態調査とプロジェクトの有効性、インパクト、持続性の評価、「児童労働のない村」を維持するための仕組みの確立を目的としました。スタッフがプロジェクトを振り返りつつ、住民に寄り添いながら時間をかけて大掛かりなインタビューとグループディスカッションを実施し、これまでのプロジェクトを振り返りました。

インタビューに答えるアリアさん(写真右手前)と見守るお母さん(写真右奥)

調査を通して、家庭訪問や見回り活動による直接的な説得・話し合い、および、子どもクラブにおける子ども同士の交流が、親と子どもの意識の変化においてとても効果的であることが見えてきました。改めて、住民ボランティアグループの活動が、児童労働をなくすために非常に重要な役割を果たしていることがわかり、彼らが継続した活動を行えるよう、フォローアップを行っています。

インドの活動報告はこちら

日本国内で子どもの権利を普及するための活動

「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」を通じた、子どもの権利の啓発・普及、子ども支援団体とのネットワーキング  
 

・「10代のモヤモヤキャンペーン」を通じて全国の子どもから集まった1,096件の声を、こども家庭庁大臣に子ども5名から直接提出することができました。詳しくはこちら

・学校教育における子どもの権利の啓発・実践に関して先行事例を共有するための教員向けセミナーを実施しました。 詳しくはこちら

・11月25日~26日に開催された子どもの権利条約フォ―ラム2023inとよた(愛知県豊田市)に参加し、こども基本法や自治体での子どもの権利保障の取り組みについて知らせる分科会を開催しました。全体クロージングでは来年の東京開催について初お披露目しました。詳しくはこちら 

「こども基本法」に基づいて子どもの権利を保障するための「子ども大綱」、子ども施策の実現に向けた、子ども参加による提言活動

・こども家庭庁によるこども大綱中間整理への意見書を10月20日に提出・公開しました。 詳しくはこちら

・子どもメンバーが作成した子どもの権利に関する「全国子どもアンケート:みんなの今を教えて~子どもの権利、知ってる?~」を実施し、約1400の回答を得ました。 

・「子どもメガホンプロジェクト」の子どもメンバーが国会議員・省庁職員に意見を届ける院内集会を12月7日に開催し、国会議員13名、省庁職員2名が参加しました。  

院内集会で子どもが国会議員に意見表明している様子

子どもの権利を普及するための子ども向け教材の開発・実践の普及   

日本の学校の授業などで活用できる、「わたしらしさを大切にする子どもの権利ワークショップ」を新たに開発しました。6月に大阪府の中学校でお披露目して以来実施を重ね、講師派遣のメニューとして提供できるようになりました。

参加者からは「自分の中にも権利があるとわかった」という感想をもらいました。おとなにとっても、子どもの権利について学んだり、子どもとのコミュニケーションの参考になる内容です。さらに多くの人に受けてもらえるよう今後さらに改良を行う予定です。 

沖縄における子どもの権利・共感的コミュニケーション促進活動 

沖縄県内で居場所支援等を行うちゅらゆいと共に行う「沖縄うまんちゅ子どもの権利推進プロジェクト」として、沖縄県うるま市と沖縄市で研修を実施しました。

子どもや保護者、教員、若者などそれぞれを対象にNVC(共感的コミュニケーション)の研修を計4回、子ども支援者を対象とした研修「子どもの権利を知ろう!広めよう!」を2回行いました。今後はネットワーク化を推進するなどさらに子どもの権利が大切にされる地域づくりの実践を促します。 

子どもに関わる組織・人への子どもの権利とセーフガーディングの普及支援、研修プログラム開発

認定NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえと共同で、子ども食堂・居場所運営者を対象とした各種研修会を実施しました。 詳しくはこちら

国際社会・政府への働きかけ

厚生労働省が「Alliance 8.7のパートナー」に 

児童労働撤廃を含むSDG 8.7達成をめざすグローバルな枠組みであるAlliance 8.7(事務局:ILO)への参加について、署名活動やAlliance 8.7議長と外務省とのミーティング開催などさまざまな活動を通して日本政府に働きかけていました。ついに、厚生労働省がAlliance 8.7パートナーとなり、国内外での児童労働への取組が強化されることが期待されます。 

「SDGサミット」に向けて政策提言 

2023年9月に開催された国連SDGサミットで発表する成果文書のドラフトに関して、国連と市民社会との非公式な対話が6月に開催されました。児童労働に反対するグローバルマーチ(理事)と児童労働ネットワーク(事務局)を代表して、特に農村部の児童労働削減・撤廃のために、ACEがガーナやインドで実践しているエリアベース・アプローチの採用と規模拡大を提言しました。詳しくはこちら

「ビジネスと人権プラットフォーム」参加 

毎年11月末にジュネーブで開催されているビジネスと人権プラットフォームに今年も参加しました。児童労働は企業のサプライチェーン上での重大な人権侵害リスクで、カカオ産業のように一企業だけでなく業界として取組が進められています。国際会議に参加したことで、ILOの児童労働担当者や国連ビジネスと人権作業部会の委員から最新の情報収集や意見交換、企業の動向把握などを行い、またこの分野の国内外のキーアクターとつながることができました。 

パブリックコメントを3件提出しました

国が重要な政策を決定する際に、パブリックコメントいって国民から意見を募集します。私たちの意見が国の政策に反映される可能性がある貴重な機会ですので、「こども大綱」「SDGs実施指針」「食品企業向け人権尊重の取組のための手引き」に対して、子どもの権利や児童労働の観点からよりよい政策となるように意見書を提出しました。 

持続可能な事業の推進に向けた企業・経営者への働きかけと連携

アニダソチョコレートの企画・発売 

ACEが支援するガーナの村で収穫された児童労働のないカカオを使用し、1枚の購入で500円が現地の支援になるチョコレートを外部の専門家や企業と連携し開発しました。カカオ産地からのサプライチェーンを見える化する仕組みも搭載し透明性も高めました。 詳しくはこちら

NGOダイアローグサービスのローンチ 

企業における「ビジネスと人権」の取り組みの必要性より、ステークホルダーエンゲージメントのひとつとしてNGOダイアローグの実施へのニーズが高まっていることを受け、認定NPO 法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)と共同で「NGOダイアローグサービス」を開発しローンチしました。 詳しくはこちら

チョコレート関連企業との協働促進 

社内研修や勉強会、セミナーでの登壇や広報での連携、ガーナのカカオ調達地におけるプロジェクトの実施、サステナブル調達に対するアドバイス等を実施しました。

啓発活動

ACE設立25周年記念の啓発イベントを実施

・10月に都内にて「ACEフェス」を開催し、ACEの組織づくりや子どもの権利についてのトークセッションを実施しました。86名の参加者のみなさんと、ACEの「今」について共有する場となりました。 詳しくはこちら

・12月には都内にて25周年記念パーティを開催し、ACEの新しいパーパスや、今年6~7月に実施したクラウドファンディングのリターンにもなっている25周年記念チョコレート「アニダソ」をお披露目しました。支援者の方やそのおつながりの方など104名の方にご参加いただき、ACEの「これから」のビジョンを共有させていただきました。

学校授業や一般市民向け講演への講師派遣 

2023年6月~12月の期間に24件の授業・講演への講師派遣を行い、約4,300名の方にご参加いただきました。従来通りガーナ・インドの児童労働を伝える講演の他、最近では子どもの権利を伝える講演や、日本で子どもの権利が守られることを実現するための内容が増えてきています。 

児童労働や子どもの権利を伝えるイベントの実施

・「習いごと」を楽しみながらACEの活動や児童労働・子どもの権利を学べる「ACE習いごとサークル」では、フォトグラファー石野千尋さんを講師としてお招きし「楽しい毎日を大切に残すこども写真講座」を実施しました。お子さんと一緒に参加される方も多く、和やかな雰囲気の中、「子どもの権利」や生き生きとした子どもとの思い出を写真として残すコツを学ぶ会になりました。 詳しくはこちら

・児童労働反対世界デー(6月12日)がある6月に、オーガニックコットンブランド・プリスティン(株式会社アバンティ)とイベント「Love all action!児童労働をなくすために、今私たちができること。」を実施しました。インドのコットン生産地の児童労働の実情を発信すると共に、これから目指していきたいことなどをお伝えしました。 イベントの様子はこちら

日本の児童労働を予防するための啓発活動

児童労働の予防と撤廃のための3種類の啓発資料(中学生・高校生・おとな向け)および啓発資料を紹介する名刺サイズのカードを沖縄県を中心に全国に周知、配布しました。

また、キクよんというキャラクターが、毎週X(旧ツイッター)で「働く人を守るルール」について発信しています。 キクよんのアカウントはこちら

キクよん

児童労働ネットワークが「ストップ!児童労働キャンペーン2023」実施 

ACEが事務局を務めている児童労働ネットワークは、6月12日の児童労働撤廃デー(6月12日)に合わせて毎年6月にキャンペーンを行っています。

今年のキャンペーンでは、「児童労働にレッドカード!」の意思表示のためにSNSにレッドカードの写真投稿を呼びかける「レッドカード・アクション」に約1900名が参加したほか、オンラインセミナーの実施や、X(旧Twitter)のオリジナルアイコンフレームを作成し発信を呼びかけました。 

世界の子どもの笑顔のため、世界を変える小さな一歩を。

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  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2023.12.25