児童労働のない未来へ-NPO 法人ACE代表 岩附由香のブログ(archive-blog)

もし、22歳のあの夜に一晩寝ないでACE設立趣意書を書いていなかったら。
もし、22歳のあの秋に「一緒にやらない?」と現事務局長の白木に電話していなかったら。
今の私もACEも、児童労働から救出した1000人以上の子どもの笑顔もなかったかもしれません。

そんな私の経験から、あまりにも多すぎる今の社会の心配事を減らすために
「行動を起こす Take Action」することが、思っているよりは難しくないこと、
そして自分の小さな行動が「違いを生みだす make a difference」することなど、読んだ人が感じ、NPO/NGOに関わり始める一歩を踏み出す「背中ポン」になることを願って、日々のことを綴っているのがこのブログです。

2004年からブログをはじめ、2013年のACEウェブリニューアルにあわせて引っ越しました!
代表ブログの内容は基本的に私個人の意見・思想ですが、ACEの活動紹介・報告の場にもなっています。

アドボカシー/政策提言

2016年12月21日

日本版「現代奴隷法」実現に向けて、動き始めてます

今年9月、アメリカの元上院議員、トム・ハーキン氏が来日しました。

ハーキン氏は、米国がこれまで世界の児童労働問題に多大な資金を提供するきっかけを創った議員で、カイラシュ・サティヤルティ氏にインスパイヤされた人のひとりです。

そのハーキン議員来日中に、日本の国会議員数名とのランチョンミーティングを行いました。そこから、それ以外のいろいろな方々のご縁もきっかけに、多くの政策提言の機会に
恵まれました。

実はTPPの中に、「強制労働や児童労働によるものを輸入しないことを奨励する」という
条項が含まれています。TPPはこれからどうなるかわかりませんが、ビジネスと人権国連指導原則の流れもあり、イギリスでは「現代奴隷法」が、アメリカでも各種法律が制定され、サプライチェーンの人権問題に企業・政府が真剣に向き合うことを求める流れがきています。

しかーし!

日本には、これらに対応できるような法律がありません。
これは人権の問題だけでなく、企業の競争力の問題でもあります。
欧州や英国で新たにできたスタンダードに合わせるために、日本企業はあわてて対応をしなくてはなりません。そうではなく、日本から、ルールメイキングを行って、ビジネスと人権、ひいてはSDGs達成に向けて企業がより積極的に貢献し、またそのような企業が正当に評価されるような環境を政府が作ること・・・これを私は目指したいと思っています。

そのような問題意識もあり、以下の政策提言書を10月に作成しました。

ACEの政策提言書(PDF)

これを元に、様々な方々の協力を得て、国会で児童労働が話題にすることに成功しました。

国会での質問:

【2016年10月28日 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案 田嶋要議員

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=46130&media_type=

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009819220161028005.htm

 

【2016/11/21 TPP特別委員会で「児童労働」について意見 松川るい議員】
youtubeです。39分30秒からです。
https://www.youtube.com/watch?v=xw0ISuQo_R4

【2016/12/8 TPP特別委員会 徳永エリ議員】

https://www.minshin.or.jp/article/110555/

また、政府からの回答はまだですが、石橋議員から質問趣意書が提出されています。

環太平洋パートナーシップ協定が定める強制労働及び児童労働の撤廃目標と企業のサプライチェーンにおける人権保護に関する質問主意書 石橋通宏議員

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/192/meisai/m192060.htm

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/192/syup/s192060.pdf

 

2025年までに児童労働をなくすというSDGs8.7を達成するのに、ACEが出来ることで
最大限貢献できるインパクトが大きい取り組みが、この法律を作ることではないか。
日本企業のサプライチェーンの人権課題に、政府も支援する形で取り組みを進めることがで
きれば、これは日本企業の競争力強化だけでなく、実際の現地の変化にも波及効果をもたらすことができるのではないか。
 
これが私の仮説です。
 
このようなアドボカシー活動ができるのも、ACEにご支援いただいている皆様がいるから。この1年の多大なご支援に心より感謝申し上げるとともに、来年からのACEの新しいジャーニーにもぜひ引き続きお付き合いいただけますよう、お願いさせていただく次第です。

 

アドボカシー/政策提言企業の社会的責任(CSR)児童労働

2016年10月28日

私のアドボカシー活動、2010年の出来事を振り返ったときに。

今朝、政策提言系の宿題をやっていたところ、泣いてしまいました。
 
その原因は、宿題の関係で2010年ぐらいに活発だった「社会的責任に関する円卓会議」の過去メール。
 
ちょっと前段の説明が長くなりますが・・・
 
社会的責任に関する円卓会議は、「円卓会議は、多様な主体が対等な立場で参加し、政府だけでは解決できない課題に協働して取り組むための新しい枠組み」なのですが(少なくともHPにそう書いてある)、NPO/NGOセクター代表として運営委員に選出してもらい、「地球規模課題の解決への参画」ワーキンググループの事務局をACEが務めておりました。政府も主体のひとつとして参加しており、その他金融、消費者、事業者(経団連、同友会、商工会議所)、労働組合(連合)、NPO/NGOセクターから代表が出ている会議体でした。
 
で、児童労働に関してこの会議で合意にもっていこうとした政府の取り組みとして「労働・人権に配慮した調達促進の元となる法令の整備と行動計画の策定、それに基づく労働・人権に配慮した製品の利用の促進についての各種施策」という提案をACEがして、ワーキンググループで合意、資料として事務局へ提出したら、運営委員会の会議の前に政府側から「それは引き取る省庁がないので無理」といわれ、削除を求められ、結局誰かの助け舟で「政府への提言」として会議資料に記載することになったという経緯があります。
 
事実上「児童労働についてはあなたが出したどの案も政府はやりませんよ」と言われたも同然。最終的な協働戦略には、政府がやることだけ何も書いてないのもおかしいので、当たり障りのない記述が残っています。
 
私としては、2010年時点のこの頃から、サプライチェーンの児童労働に対する法整備を政府にしてほしいとアドボカシーしてたんだな、という自分自身のその時点での確信があったことの確認ができました。
 
で、なんで泣いたかっていうと、政府側から「これは削除」って言われてそのことについて比較的心情が通じていた霞が関の某お役人様とのメールのやりとり。
 
「児童労働は残念です。ACEの円卓会議との関わり自体をどうしようかと思うほど、政府の(*行動計画として)記述がないのは私にとってダメージが大きいです。と落ち込んでいても仕方がないのでこの学びを今後に活かしたいと思います。こちらも対策が遅くなったことは否めません。」
 
と私が書くと、それに対し、
 
「岩附さんや植木さんが、ボランティア的な形で、多大な貢献をされていることに頭が下がる思いです」とはじまり、でもそのような事情を知らない役所の同僚はDefensiveな反応をしがちで、自分自身で省内を説得して回っても、役人的ロジックで「そんな話は聞いてない」と言われるとなかなか反論しにくく、外から見ているとわずかな修正でも「軌道修正×関与している役人数」を見ると、比較的大きなインパクトがあるもの事実で、きっとフラストレーションやら怒りやら軽蔑やらを感じられていると思うけども、ご容赦ください、とつづき、
「私も立場上言わざるを得ないことは言いますが、それとは別に、改めて感謝と敬意を表する次第です。」
と結ばれているメールを、発見したのです。
 
2010年当時、すごくがんばっていた私(そして植木美穂!当時の資料がきちんと日付が入って残っていることとか、やっぱり素晴らしいよ)、上手くできなかったその時の悔しさ、でもそれに対して理解を示してくれていた政府側の人がいたこと。
 
とにかく、必死にもがいていた自分の足跡を発見してしまい、なんだか涙が出てしまいました。
 
さて、ただいま政府は持続可能な開発目標(SDGs)の政府の活動についてパブコメを募集しています。
 
◎総理官邸SDGs 推進本部 実施指針「⾻子」 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/
◎パブリック・コメント SDGs 実施指針 http://ow.ly/ZAqK305iJUx
 
児童労働は目標8の8.7に2025年までにあらゆる形態の児童労働をなくすとありますが、日本政府の実施指針の骨子、また付表にも、「児童労働」に関しては国内・国外とも一言もありません(性的搾取、人身取引については言及あり)。
また、目標12の持続可能な消費と生産の中に、持続可能な取り組み導入と情報の定期報告について(12.6)、持続可能な公共調達(12.7)に記述がありますが、現状日本の法律としてあるグリーン購入法は環境しかカバーしておらず、政府の調達方針の人権・労働分野については未整備な状態です。でも、今の行動指針付表には「グリーン購入の促進」しかなく、12.6についても「ESG投資の促進等による環境に配慮した事業活動の推進」しかありません。
 
サプライチェーンの人権・労働問題は、またもや置いてきぼりです・・・・(担当する省庁がいないから!)
 
TPPの労働章にも、「全部又は一部が強制労働(児童の強制労働を含む。)によって生産された物品を他の輸入源から輸入しないよう奨励する」って書いてあり、英国奴隷法もできて、いよいよ世界はサプライチェーンの人権問題に向き合おうとしているのに、日本だけ置いてきぼりに・・・
 
5月に来日したカイラシュさんが言っていた3Dが
Dream -big&better
Discover -your strength and opportunity
Do! – Act now!
 
この3Dを胸に刻み、今できることを、やります!
超長文になってしまいましたが、ぜひご一緒に!
アドボカシー/政策提言児童労働

2016年9月21日

持続可能な開発目標(SDGs)の目標8.7の達成を目指すアライアンスが誕生!

9月21日の本日、ニューヨークにて、SDG Alliance 8.7(エスディージーアライアンスエイトポイントセブン)がいよいよ正式にローンチします!

いままさに国連総会が開催されていますが、昨年9月の国連総会で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)は、2030年までの世界の経済、環境、社会のありたい姿をまとめたものです。国連加盟の国家元首が合意した、「世界共通のゴール」といっても過言ではありません。

その中には、17のGoal(目標)があり、その目標の中に書いてある内容について、全部で169のtarget(ターゲット)があります。

ACEが取り組んでいる児童労働問題も、目標8のターゲット7として、記載されています。2025年までにすべての形態の児童労働を撤廃する(英語ではEnd という表現を使っています)と明確に目標をたてています。また、強制労働、人身売買、現代的奴隷制度についても、撤廃を目指しているのがこのSDG8.7です。

*ちなみに、総称でいうときはSDGsと複数形なのですが、個別のゴールやターゲットを言及するときはSDGとsがつかないようです。まぁ言われてみればそうなのですが。

あと9年!というかなりアンビシャスなこのゴール。

その目標達成のために、グローバルレベルでの連携や協力を促進するために立ち上げられるのが、SDG Alliance 8.7というわけです。

さて、この国連のSDGsですが、それぞれの項目にだいたい担当の機関が決まっています。例えば、児童労働とも関係のある、SDG16.2の子どもの暴力については、ユニセフが中心となり、Global Partnershipが進められています。

こういったグローバルレベルの枠組みを作る際は、事前にコンサルテーション(日本語で適切な訳がわかりません・・)が行われることが常のようで、ユニ
セフはかなり前もって準備をしていたようです。

SDG Alliance8.7を担当するのは、ILO(国際労働機関)です。ILOは国連機関の中でも国際的に労働に関する条約をつくり、批准を促す国際機関です。”decent work”(人間らしい仕事)がすべての人に普及するようにとの観点から、児童労働についても「労働問題」として、かねてから熱心に取り組んできています。

そんなILOの特徴は、三者構成。通常、国際機関には国の代表が参加し意思決定を行うのですが、ILOは国の代表だけでなく、労働者代表(日本からは連合)、使用者代表(雇用している側、日本だと経団連)が参加して、意思決定に参加しています。

さて、そんなILOが主催する、SDG Alliance 8.7の東南アジア・東アジア・太平洋地域のコンサルテーションミーティングが9月14日、15日にタイのバンコクで開催されました。ウェブサイトを見て開催を知った私は、「ぜひ参加したい!」と手を挙げて、参加が認められました(手を挙げなかったら、呼ばれなかったでしょうね~。いつも忘れられがちな日本・・・。)

参加した感想としては、結局SDG Alliance 8.7がどのような形でどう運営されるのか、ガバナンスや資金はどうなるのかについてはよくわからなかったのですが、会議の運営自体は素晴らしく、参加者からのインプットや参加者同士の交流が出来るように設計されていて、well-thought-throughな印象を受けました。

参加者は160人、政府(労働省、文部科学省)関係者、各地のILO事務所スタッフ、労働代表、使用者代表と、ILO主催の会議なので三者構成を色濃く反映された布陣でしたが、NGOや国際機関スタッフも参加していました。

プログラム自体は以下のような感じ。

テーマとしては、教育、移住と人身売買、サプライチェーン、モニタリングというのが主なトピックで、それぞれについてパネルトークがあった後に、グループディスカッションがありました。

グループディスカッションでは、4つのグループに分かれます。それぞれのセッションで、1グループがGlobal レベル、Regionalレベル、Nationalレベル、Lobalレベルのいずれかに焦点をあてて話すよう割り当てられ、パネルトークのテーマについて、機会の特定⇒必要な情報の特定⇒前進の障害となるものの特定⇒優先すべきアクションは何か?という4つのステップを踏むように指示されました。

私もサプライチェーンのセッションのファシリテーターを任されましたが、難しかった・・・。とくにサプライチェーンについては、参加者の前提や知識がかなりバラバラ(前述のように、ビジネス界の人は少数派で、援助の世界どっぷりの人が多い)だったので、まとめるのに苦労しました。

この内容が今後のアライアンス運営にも反映されるということですが、
これからどのような動きをしていくのか、今後も注目し、ACEとしてもこのアライアンスの流れの中で活発に動いていきたいな、と思っています。

http://www.alliance87.org/

プログラム:

1日目

High Level Opening and Welcoming Remarks

SESSION 1: Situating the end of child labour, forced labour, modern slavery
and human trafficking within the framework of the SDGs
SESSION 2: EducationLunch Live Talk:
Financial and IT Coalitions to protect children from online sexual exploitationSESSION 3: Thematic Group Work
SESSION 4: Sharing Reflections and Key Observations
SESSION 5: Migration And Trafficking
SESSION 6: Thematic Group Work
SESSION 7: Sharing Reflections and Key Observations

2日目

SESSION 8: Supply Chains
SESSION 9: Thematic Group Work
SESSION 10: Sharing Reflections and Key Observations
SESSION 11: Monitoring Progress, Measuring Impact, and Resourcing
Considerations
Lunch Live Talk:
Responding to Children and Armed Conflict
SESSION 12: The 4th Global Child labour Conference and Target 8.7 – The way
forward
 SESSION 13: Thematic Group Work
SESSION 14: Final Group Work
SESSION 15: Sharing Recommendations and Priorities.

NPO経営/NGO組織運営

2016年8月27日

NPO経営ツールのお話しをしました

回転ずし屋さんで「ママ行かないで」と長女(4歳)に泣かれ、出たり入ったりを繰り返して困り果てた20分間をなんとかやりすごした岩附です。

今日はJapan GivingでACEのクラウドファンディングにご寄付いただいた方に、45分間のセッションを提供するために御徒町の事務所に行きました。

ご寄付いただいた方は、5月のカイラシュさんのシンポジウムに来てくれたのがACEを知ったきっかけだったとか。そのシンポジウムも、お友達のシェアで知ったそうで、そういう個人のネットワークを通じて知っていただくことがあるんだなぁと実感。

45分のはずがその倍以上の時間がかかってしまいましたが、3月にファンドレイジング日本でお話しさえていただいたプレゼンを中心に、ツールやその背景、またいろいろな質問に応えさせていただきました。

現在企業で働かれている方だったので、ビジョンミッションや中期戦略などの枠組みを説明すると「会社にもそういうのがあります!」と。そうなんです、基本的なフレームワークは一緒ですよね。

というわけで、経営の勉強にも行かせていただいている私ですが、10月から、グロービスさんのMBAコースに無償で行かせていただけるお話しがあり、いま楽しみにしています。問題はその夜の時間帯の子守をどうするか、ですが。。。日経ソーシャルイニシアティブ大賞の副賞としていただいたこの機会、せっかくなので英語のコースを受けて、いい加減な英語のスキルもアップ!させていきたいと思います。

このブログでも、NPOの経営の話を、少しづつポストしていきたいな、と思っていますが、反応がないとモチベーションが上がらないので、自分のモチベーションを保つためのしかけが何か必要かな~と思います。

お知らせ・報告

2016年8月15日

ACEでポケモンGO!納涼会を開催します(8/21)

3日坊主にならないためには、4日目にやればいいんだ!というCMがあったと思いますが、

まさにこのブログ更新を3日坊主にしないために書いている代表の岩附です。

週末3日間連続してブログを更新しましたが、少し空いて、今日も更新!これで3日坊主ではないはず・・・

世間で大流行りのポケモンGO!私は、ピカチュウぐらいしか知らないので、やってない

のですが、なんとACEの事務所にもポケモンが捕獲できるそうです。

そんなことから、また「1円でも多く寄付を集めたい」という想いから、2000円+1円以上の寄付でご参加いただける交流会を8月21日日曜日の午後に開催することになりました。ACEの支援者の方も、そうでない方も、参加いただけます!

せっかくなので!?スタッフをポケットモンスターにみたて、それぞれのモンスターの名前と特徴を考えてみたり、モンスターぽい写真を撮ってみたりして、素人っぽいそれっぽさを
精一杯出してみました!ぜひ以下のイベントページをご覧ください。

https://www.facebook.com/events/664039283744546/

ふざけた名前のイベントですが、大真面目です!

当日はACEの支援を受けたガーナの子どもたちとネットでつないで会話したりできるよう、いま調整中です!

ぜひ、ご参加を~。

つかまえにきてください! ユカエモンより

企業の社会的責任(CSR)

2016年8月12日

英国の現代奴隷法 Modern Slavery Act がスゴイ

先月、英国在住のCSRのスペシャリスト、下田屋さんが事務所まで来てくれ、事務局長の白木と3人でランチしながら情報交換をしました。

その際に話題になった、Modern Slavery Act 2015。企業のサプライチェーンに強制労働、人身取引、債務労働(借金のかたに働かせられる)などの”奴隷的”に働かせられている人がいないかどうかを、企業がチェックし、それを公表しなさい、というもの。

詳しくは、ぜひ以下の下田屋さんの解説を読んでください。

http://sustainablejapan.jp/2016/07/13/modern-slavery-act/22928

これがいいなと思ったのは「情報公開」を求める法律であることです。一定規模の英国の企業は2016年4月以降に開始する会計年度において、「奴隷と人身取引に関する声明」を公表しなくてはなりません。

つまり、自身のサプライチェーンにそのような奴隷的労働があるかどうかを確認したか、それをウェブサイトなどに公表することが求められています。

下田屋さんと話していて、この法律が素晴らしいなと思った点を、下田屋さんが上記記事に書いてくれているのですが、そこだけ引用すると

「また、もし奴隷と人身取引に関して、企業がその内容を確認するステップを踏んでいない場合には、その手立てをしていないことを声明に書かなければならないとしている。

 この英国現代奴隷法は、企業が法令順守をしなかった場合には、無制限の罰金が科せられるとしているが、この法令の興味深いところは、実際にはその罰則により企業に取り組みをさせるという仕組みでないところである。ちなみに英国政府は、対象企業が「奴隷と人身取引に関する声明」に関して要求事項を満たしているかについては確認しないとしている。

 この法令が求めている仕組みは、英国において市民社会、NGOのプレッシャーが強いことを利用して、企業に透明性を強要し、市民社会、NGO、大学の研究者などがWeb上の声明を精査するという市民社会の監視の目を使用するところである。

 また、当該企業は他社の声明と比較することにより、それぞれの企業がお互いにどのように実施しているのか、何をする必要があるのかなどを相互に理解して、次のステップに活用させることができる。これらにより、各産業でこの問題を真剣に取り組みをさせることを考えている。」

いい意味で企業同士の競争を促すこと、そしてそれを市民社会がウォッチする、そこまでを想定して法律が出来ているって、スゴイです。実際的。

下田屋さんと話していて、こういう法律が日本でも出来たらいいのに、そんな企てをしたくなった夏の日の午後でした。

 

About myself 自分のこと日々是発見

2016年8月11日

人生最大のターニングポイント~中2の夏~

子どもたちの夏の思い出にアンパンマンプールに連れて行ってあげたいけれど昨今の体重増加で水着になる踏ん切りがつけられない岩附です。大学時代、週4日のテニスで10%台の体脂肪率だった自分のイメージがぬぐえず、現実を受け入れられません・・・

さて、夏の思い出、みなさんたくさんありますよね。

私の人生の最大のターニングポイントは中2の夏にやってきました。

家族でアメリカで2年間過ごすことになったのです。

当時の私は紡木たくの「ホットロード」「机をステージに」等の漫画に憧れ、そこに出てくる主人公のように髪の毛を染めるという大胆な行動に出ました。今でこそある程度染めている人が多い時代になりましたが、当時1980年代の日本は、駅の混雑でざっと人を見渡せば髪の毛は全員黒い、という時代です。しかも夏休み中にとかではなく、普通に、6月か7月くらいに。そんな茶色い髪で制服を着て都内の私立中学校に通っておりました。

いわゆる反抗期と、興味本位と、「オキシドールを塗ってドライヤーかけると脱色できるらしい」という噂の検証(「髪に何かしてるでしょ!」と親に詰問され、何もしてない、と白を切る私のやりとりを見た5歳下の妹が洗面所からオキシドールを持ってきて「おねいちゃんこれ塗ってた!」と告げ口し親にばれました)でした。

そんな「この子はどうなっちゃうんだろう?」と周囲が心配していた矢先の渡米。

Brookline(ブルックラインと読みます。ニューヨークのブルックリンと似ていますが違います)というボストン郊外の町に住み、その公立高校に通うことになりました。

今思えば、この2年間の経験が、私のモノの見方にすごく影響したと思います。
はじめて「日本人であること」を意識し、「考える」ことを学び、アメリカ社会の自由と寛大さと多様性に触れ、日本以外のシステムを知ったからです。

また当時、勉強が出来る方ではなかったのですが、この2年間の公立学校生活で英語が出来るようになったことは、その後の受験だけでなく、様々な機会において有利になったし、自信になったと思います。

帰国後に受けたTOEFLの点が、一発で父の点数を抜いたときに「オレのおかげだ」と言った父を、なんか張り合ってきて大人げないなと思いましたが(父の留学に家族でついていったのですが、父にとっては何年間もトライしやっと大学院にアプリケーションを送る基準点をクリアしたという経緯がありました)、父に一番感謝しているのはアメリカに連れて行ってくれたことかもしれません。

最近キャリア教育関連のインタビューなどが続き、「高校生にメッセージを!」なんて言われるのですが、そうするといやがおうにも「自分はどうだったけな」と、自分の中学高校時代を振り返ることになります。

こうして振り返ってみると、やはりあの中2の夏が人生最大のターニングポイントだったのではないか、と、40を過ぎた夏に初めて自覚するにいたったため、初の山の日の休日の午前5時にこのブログを更新してみることにしました。

ほとんど英語が出来ない状態で、完全英語の学校生活が始まったわけですが、そのあたりのドラマはおいおい書いていきたいと思います。

まるで温泉の湯船の中を歩いているような錯覚に陥る暑さが続いていますが、みなさま良い夏を!

日々是発見

2016年8月10日

8月8日でACEは法人化11年目を迎えました

先週から長女(4歳)、次女(1歳半)が風邪と溶連菌感染、夫も扁桃腺がはれている中、
一人家庭内で菌と瀬戸際の闘いをしている岩附です。

8月8日はACEをNPO法人として「登記」した、NPO法人化の記念日です。

おかげさまで、2005年の暑い日に台東区の事務所にトコトコ歩いて登記しに行ったあの日から、11年を迎えることもが出来ました。ACEを応援し、ご支援いただいてきた会員、サポーター、支援者のみなさまのおかげです。ありがとうございます。

(ちなみにACEの活動をはじめた「発足」は1997年なので、来年20周年を迎えます!)

こういう仕事をしていると「そんな社会のために偉いね!」なんて言っていただくことがあるのですが、私自身は自分が「好きなことをやらせてもらっている」と思っています。

児童労働の問題をなんとかしたい。そのために、その目的達成にまつわるいろんなこと(組織を運営するとか)も含めて、背負い、なんとかその目的を達成に向け近づこうとしている日々です。

昨日、税制の配偶者控除撤廃のニュースを読みながらふと、私にはこれまでNGOの代表以外にいろいろな選択肢があったし、今でも、例えば専業主婦になるという選択肢も、残されていないわけではないのだよな、ということを想っていました。

これまで派遣社員として富士通で働いてみたり、国連組織がどのように動くのかをWFP日本事務所に勤めて垣間見たり、フリーランスの通訳として働いてみたりしました。

元来怠け者で、かつ命令されることがキライな私にとって、NGO代表という職業は、「目的のために一番自分が努力をする」ことができる唯一の形なのかもしれません。もともとが結構いい加減な人間なので、もっといい加減に生きることもできたろうと思います(実際かなり仕事がいい加減だった時代もあります。。)

でもこうして、子どもが病気になって保育園に預けられなくても人に来てもらって仕事に行って、出張の際には義理の母に泊まってもらって、いろんな人に協力してもらってもとにかくこれをやりたい、そういう仕事がある、これを仕事に出来るというのは、本当に恵まれていて、ありがたいことだと思います。

昨日、ウェブサイトのトップページをリニューアルしまして、このブログが以前より目立つところに位置しているため、書かなくてはというプレッシャーを感じて、朝早く起きて、紅茶を入れて、その次にこのブログを書いています。

今年からACEに職員として入ってくれたスタッフが「職員応募の決め手はブログだったかもしれません」なんて言ってくれたので、よし、がんばろう、と思ったのですが、もしかしてこれは怠惰な私にブログを更新させるモチベーションを与えようという高度なあやつり!?

そんな私より数段上手かもしれないスタッフに囲まれながら、これからも頑張っていきたいと思います。

お知らせ・報告資金調達・ファンドレイジング

2016年6月25日

6月25日付朝日新聞ニュースサイト「フロントランナー」にカイラシュさんの記事が掲載されました。

6月25日付の朝日新聞ニュースサイト「フロントランナー」に
インドの人権活動家カイラシュ・サティヤルティさんの記事が掲載されました。

カイラシュさんは30年以上にわたり世界の児童労働問題の解決に取り組んできました。
その功績によって、パキスタンのマララ・ユスフザイ女史と並び、
2014年10月にノーベル平和賞を同時受賞したことでも知られています。
そしてカイラシュさんが主導した「児童労働に反対するグローバルマーチ」は、
世界110カ国以上で行われ、ACE設立のきっかけとなりました。

2016年5月、ACEの招へいによってカイラシュさんが来日しました。
4日間の日本滞在中にカイラシュさんは30件にもおよぶ講演やシンポジウム、懇談会、取材などを
精力的にこなし、政財界のリーダーのみなさんや、これからの時代を担う若い世代や子どもをはじめとする
様々な人たちに向け、児童労働をなくすための行動を呼びかけました。

“Dream, Discover, Do!”
「何かを変えたいなら、大きな夢を持とう」
「自らの能力、力を見出そう」
「今から行動を起こそう」

日本滞在中、日本の私たちに向けて
カイラシュさんはこのようなメッセージを伝えてくれました。

ただ、世の中を変えるためには
大きな力を持っていないといけないということはありません。
友達への口コミでも、SNSへの投稿、シェア、何でもいいのです。
どんな小さなことでも、何かを実行することで、
確実に世の中は良い方向に一歩前進します。

「夢も、希望も、命も奪う。そんな児童労働から子どもを救いたい!」
そんな想いを持って、ACEは2025年までにすべての形態の児童労働を終わらせることが実現するよう
カイラシュさんをはじめ世界の仲間とともに活動していきます。

そこでACEでは児童労働の問題をより多くの方に知ってもらい、
共にアクションを起こしていただきたいという願いから、
6月30日までに300万円の支援を集めることを目標にしたクラウドファンディングに挑戦しています。

クラウドファンディングでのご支援を通して、ACEの活動を応援していただき
「児童労働のない未来」をともにつくっていただけませんか?
皆さまのご支援お待ちしております!

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ぜひ皆さまのページでACEの活動をシェアして頂き、応援お願いします。
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お知らせ・報告

2016年6月24日

カイラシュさん再び来日中。

今回は福岡での講演に呼ばれて来日。その前に東京に寄っているところをご一緒しています。
カイラシュさんと、前回来日中に開催した来日記念チャリティーパーティの応援団発起人・渋沢さんと。
とても話が弾んでいました。カイラシュさんが企画している活動を、日本からもみんなでサポートして行きたいです!
渋沢さんありがとうございました!

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お知らせ・報告アドボカシー/政策提言資金調達・ファンドレイジング

2016年6月16日

塩崎厚生労働大臣に、児童労働への取り組み強化を求める署名を提出しました

私が事務局長を務める児童労働ネットワークでは、昨年51万筆を超える署名を集めました。
2016年6月14日、児童労働ネットワークの堀内光子代表と共に、塩崎恭久厚生労働大臣に、集まった署名を提出し、
①貧困、教育などの国際協力において児童労働にも配慮したプログラムを実施すること、
②日本国内の児童労働問題についても実情の把握と対策の強化を行うこと、
③TPPにも明記されていることから、企業がサプライチェーンの児童労働にも関心を払うよう、政府として国際スタンダードの周知や啓発を行うこと
を要請してまいりました。

児童労働ネットワークは2004年に設立され、21団体が加盟、毎年6月12日の児童労働反対世界デーをはさんだキャンペーンを実施しています。

児童労働に関する意識啓発や、政策提言を、一団体だけではなくネットワーク組織を作って活動していくこと。これもACEのアドボカシー活動のひとつです。

ACEのバリューには「ネットワークを最大限に活かします」という言葉があります。学生の活動としてはじまったACEは、一団体でインパクトが限られると、まだACEの活動自体の予算が100万を超えないときから、このネットワークを構想し、多くの方の協力を得て、2004年に発足にこぎつけました。児童労働ネットワークが今も存在し、毎年児童労働を知ってもらうためのキャンペーンが行えることも、ACEにとって重要なアドボカシー活動のひとつです。
現在、ACEのこのようなアドボカシーも含めた活動への支援を募るクラウドファンディングで寄付を募っています。

このような活動を続けていくためにも、ぜひご支援をお願いします!

塩崎大臣(右から2番目)と児童労働にレッドカード!

塩崎大臣(右から2番目)と児童労働にレッドカード!

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塩崎大臣へ署名を手渡すACE代表岩附。

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塩崎大臣からは、要請事項に対し省内によく通達するとの旨のご回答を頂きました。

児童労働

2016年6月12日

【6月12日は児童労働反対世界デー】夢も、希望も、命も奪う。そんな児童労働から子どもを救いたい。

 

夢も、希望も、命も奪う。そんな児童労働から子どもを救いたい。

なぜ、私が児童労働の問題に取り組むのか。そこには、出会った子どもたちがいます

http://japangiving.jp/p/4280

1998年、ACEを発足させた直後の23歳の時にインドので出会った、児童労働をしていたサディス・クマル君という男の子がいます。

話を聞くと、綿花を糸にする製糸工場で週6日間働いていましたが、給与は5日分しかもらえず、食事は出るが「いつまで食べているんだ」とお皿を投げられたり、仕事で失敗すると、たばこの火を腕に押し付けられたりしたといいます。

話をきいた後に撮った写真。私の左側がサディス・クマル君

話をきいた後に撮った写真。私の左側がサディス・クマル君

「そんな状況を、自分の親に相談しなかったの?」

と私が聞くと、

「しなかった」と。

その理由を聞いて、私は驚きました。

同じ工場で働いていた別の子どもの親が、あまりの労働条件のひどさに、文句を言いに来た。その次の日、その子は働きに現れず、親が探しに来たけれど、どこにも見つからなかった、というのです。

「あの子は殺されてしまったのだと思う」

とサディス・クマル君。

「そういうことがあったから、自分の親には相談しなかったのだ」と。

借金のかたに働かされている子どもたちが多く報告されているインド。鎖につながれたり、監禁されたり、奴隷のように働かされ、暴力にさらされ、命を奪われる子どもたち。サディス・クマル君はそのサバイバーだったのです。

最後に、「将来の夢はなあに?」と聞くと、サディス・クマル君はこう答えました。

「なれるものになるよ、来るもの拒まずだよ」

子どもは夢を持っているものだと思い込んでいた私に、サディス・クマル君が教えてくれたのは、児童労働は、将来への夢や希望も奪ってしまうのだ、という現実です。

それから約18年たった今。世界の児童労働者数は、2億4600万人から1億6800万人(国際労働機関発表)へと、2000年に比べて3分の2まで減少しました。

それでも、9人に1人の子どもが児童労働を強いられている現状があります。インドのテランガナ州でACEが支援を始めたコミュニティでも、村の子どもの約3分の1が児童労働をしていました。

児童労働は15歳未満の義務教育年齢にあたる子どもの違法な労働、また18歳未満の危険・有害労働をさします。国際条約、国内法で途上国でも禁止されていますが、現実は、貧困、教育環境の不備、また子どものケアへの優先順位が家庭でも地域でも国でも低いことが影響して、必要な支援が行き届いていません。人身売買、子ども兵士、子どもの買春、ポルノなども児童労働に含まれます。

その現実を知ってもらいたいと97年大学院1年の時にACEを発足させ、これまで1,520人の子どもを児童労働から救い、13,123人の教育を支援してきました。でも、これではまだまだ足りません。

先月来日した、ノーベル平和賞受賞者カイラシュ・サティヤルティさんが言っていた3つのDという言葉があります。

Dream、夢を持つ、Discover、力を引き出す、Do、今すぐやる!

私のDreamは、子どもたちが児童労働から解放されて、教育を受け、自分の持つ可能性を花開かせることが出来るようになること。
私のDiscoverは、そんな夢を持って活動をはじめたら、多くの人が共感し、支援してくれることが、本当にあるんだということを知ったこと。
そして今の私のDoは、クラウドファンディングにチャレンジすることを通じて、児童労働の問題を伝え、ACEへの支援を募ることです。

6月30日までに300万円を募るというクラウドファンディングにチャレンジしています。金額が目標額に達成しないと、決済が行われず寄付金は0円になるという、厳しいチャレンジです。ご支援をぜひ、お願いします。

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児童労働

2016年6月10日

今必要なのは、世界的な児童労働に関する世論喚起かもしれない

 

6月12日は児童労働反対世界デー。

実はこの日は、1999年に国際労働機関(ILO)で「最悪の形態の児童労働条約」という新しい児童労働の条約が出来た日なんです。

この条約が出来たことで、児童労働に関する政府の態度が一気に変わり、「隠す」のではなく「あることを認めて、取り組む」ようになりました。

そこまで持っていったのは、5月に来日したカイラシュさんがリードをとって「児童労働

に反対するグローバルマーチ」が98年に世界100か国以上でマーチを行い、世論を喚起し、

多くの人の心と行動を動かしたことが大きかったと思います。

この6か月間のマーチの終着点が、条約を議論しているILOの本部ジュネーブ

でした。私も実際にそこで、条約をどのようなものにするべきかの議論を聞く機会に

恵まれ、また次の年に実際に条約が加盟国の満場一致で採択されると、一気にその条約

を守りますと各国の批准が広がっていき、世界的な関心の高まりがあったことが思い

返されます。

1998年、児童労働に反対するグローバルマーチはNGOとして初めて国際労働機関(ILO)の中に迎えられた

1998年、児童労働に反対するグローバルマーチはNGOとして初めて国際労働機関(ILO)の中に迎えられた

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NPO経営/NGO組織運営お知らせ・報告

2016年1月12日

JANICの組織強化大賞「女性スタッフの登用・活躍部門賞」を受賞しました !

このたび、国際協力NGOセンター(JANIC)による組織強化大賞の、「女性スタッフの登用・活躍部門賞」を受賞しました!ありがとうございます!

1月19日に開催されるイベントで、プレゼンテーションをさせていただき、当日大賞が選ばれるそうです!ご参加されるみなさん、清き一票をよろしくお願いします!詳しくはウェブサイトをご覧ください!
JANIC組織強化大賞

この受賞はとっても嬉しいです。
専従で働く女性トップ2人が、同じ期に育児休暇をとったらどうなるか?という不安をスタッフのチカラで乗り越え、組織として成果を出すことができたことが評価されたから、だけではなく、この受賞が「女性が活躍する組織でも成長できる」ことを広くメッセージとして伝えてくれるかもしれない、と思うからです。

2015年1月に代表の私が出産。
4月10日に私が復帰した日が、白木が産休に入る前の最後の日。
本当にギリギリのバトンタッチをして、5月に白木が無事出産。育児休暇に入りました。
そうして、8月に決算を迎えましたが、前年度6800万円だった収入が、8100万円に増え、収益も予算以上を達成しました。

組織のトップ2名が同じ期に出産・育児休暇をとっても、組織は成長することができる、ということを、言葉でいうだけではなく、実績として証明したのです。

実は、NGO業界で働いているのは、女性のほうが多いと思います。
でも、事務局長や代表、管理職のレベルになるとなぜか男性のほうが多い。
そこには、なにか見えないハードルがあるのでは、と感じています。

1つは、出産・育児をしながら働きたい本人以外の周辺(上司、同僚など組織の人たち)が感じている「出産・子育てをしながらの女性、あるいはこれからする女性に、この役職をまかせて大丈夫だろうか」という不安。

そしてもう1つは女性自身の「子育てしながらでも管理職はできる」という自信です。

ACEのこの受賞がNGO業界に知られることで、

「だったらうちの組織も事務局長や上司が出産・育児休暇とっても大丈夫じゃないか」
と組織で働く人たち(男性だけではなく、女性も)が思い、
「私もこれから子どもが欲しいけど、それでも管理職にチャレンジしてみよう」と、女性本人が思ってもらえたら。

そう思ってもらえたら、本当にこの賞を受賞した意味があります。

これから日本のNGO界の女性がもっともっと爛々と輝いて、
何かと暗くなりがちな世界を照らしてくれるように願っています。

そして、私にとっても、成長を瞬間風速的に終わらせず、女性が管理職にいる組織だからこそ活動の効率性を高め、学習する組織として変革を続け、成果を出していかなくてはならないという決意を改めてもつ機会になりました。

このような賞をいただくにあたって、まずは日頃から共感し活動を支えていただいてくださっている皆様に感謝を申し上げます。

さらに、2014年から外部講師にとして研修やコーチングなどを通じACEを支えてくださった、チェンジ・エージェントの小田さん、Ideal Leadersの永井さん、丹羽さん、茂木さん、ダイアローグ・アーツの渋谷さんと、一緒にチームとして動いてくれたみなさんに、心よりお礼を申し上げます。ACEの組織強化という側面が初めて評価されたのは、皆様が心を尽くしてご協力をくださったからです。本当にありがとうございました!