「オーストラリアのエシカル消費最前線」開催報告

「オーストラリアのエシカル消費最前線」開催報告

Pocket

2015年10月23日(金)、東京・四ツ谷の主婦会館プラザエフで「オーストラリアのエシカル消費最前線~ITを活用したエシカルファッション推進事例~」を開催しました。世界では約3000万人が奴隷状態で働き、人類は地球1.5個分の資源を使っているといわれます。一方で、そんな状況を私たちの選択で変えることができるといいます。

今回、オーストラリアでファッションブランドが環境や社会にどのようなインパクトを与えているかの情報を見ることができるアプリ「Good on You」を開発したエシカル・コンシューマーズ・オーストラリア代表のゴードン・ルノフ氏をお招きし、オーストラリアでのエシカル消費の最新動向についてお話を伺いました。

ゴードン・レノフ氏講演「Ethical Consumption: A View From Australia」

ゴードン氏はエシカル消費について5つのポイントに触れながら話してくださいました。

  1. エシカル消費とは何か
  2. 消費者はエシカル消費に関心を持っているのか
  3. エシカル消費に取り組む組織について
  4. ゴードン氏の組織が運営するプロジェクト「Good on you」について
  5. どうしたらエシカル消費を促進できるのか

ゴードン氏の講演で、特に二つのことが印象に残りました。一つは、エシカル消費にとって大切なことは、消費者の意思決定と企業の情報提供などの透明性であること。もう一つは、消費者の意識と行動には隔たりがあることです。消費者の意識と行動には隔たりがある点に関連して、人々がエシカル消費を選択する理由と、一方でエシカル消費を妨げる要因について解説いただきました。また「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標12とエシカル消費の関係についてもお話いただきました。

他にも、オーストラリアでエシカル消費に取り組むさまざまな団体や取り組みの事例紹介や、ゴードン氏の所属する「エシカル・コンシューマーズ・オーストラリア」について、とりわけその中で最も大きい「Good on you」というプロジェクトについて紹介いただきました。

ゴードン氏からの発表の様子ゴードン氏は最後に、どうしたらエシカル消費を促進できるか、NGO、企業、政府は何ができるのか、メディアやその他の組織は何ができるかについて話してくれました。参加者同士で意見交換をした後、ゴードン氏がエシカル消費を促進していくアイディアを提案しました。例えば、消費者が対象のためできるだけシンプル(Keep in Simple)に伝えることや、消費者の観点に立って情報サイトを上手く活用することなどが挙げられました。

ゴードン氏の講演の後、具体的な取り組みとしてNPO法人ACEと、NPO法人環境市民の取り組みについて紹介しました。

ACE(成田由香子)「コットン産業の児童労働とACEの取り組み」

ACEから子ども支援事業チーフの成田より、コットン産業での児童労働と、エシカルファッションが注目される中で、コットン産業の背景には何があるのかについてお話しました。

ACE成田からの発表の様子はじめにコットン産業とその児童労働の現状について映像を上映しました。その後、児童労働とは何か、現状や要因、ACEの概要について説明しました。ACEは、インドのコットン生産地で行っている支援活動「ピース・インド プロジェクト」だけでなく、日本の市民や企業の意識を変え、行動を働きかけていくことにも取り組んでいます。日本で生産者や環境に配慮したエシカルなビジネスや消費を推進することが児童労働をなくすことにつながっていく、と話しました。

環境市民(有川真理子)「持続可能な消費/グリーンコンシューマー活動」

二つ目の具体的な事例として、環境市民の有川氏より、環境市民の団体紹介、環境市民の取り組むグリーンコンシューマー活動の始まりと成果、そして、今後の展望についてお話いただきました。

環境市民のビジョンに関わる活動のひとつがグリーンコンシューマー活動です。消費者がグリーンな商品を買うことで、店舗の製品もグリーンにする好循環を生むことを目指す活動です。イギリスで始まった活動で、日本では環境市民が初めて導入しました。

環境市民の有川さんからの発表の様子今後の展望について、消費者市民のエンパワーメント、NGO連携およびエンパワーメント、政府自治体と連携しながら、政府との対話の場を大切にしながら政策提言を行うという点からお話いただきました。また、消費者への訴求効果を狙って、あたかも環境に配慮しているかのように商品やサービスを見せかける「グリーン・ウォッシュ(Green Wash)」の防止にも力を入れていこうとしています。

グリーン・ウォッシュ防止のプロジェクトを通して、企業を批判するのではなく、誤解のない対話を続けていきたい。対話を続けることでグリーンな市場を育てていきたいということをおっしゃっていました。

パネルディスカッション「エシカル消費をどうやって日本ですすめていくのか」

パネルディスカッションに登壇したACE代表 岩附由香最後に「エシカル消費をどうやって日本で進めていくのか」というテーマで、パネルディスカッションを行いました。モデレーター・中原秀樹先生(東京都市大学)、パネリストとして、ゴードン・ルノフ氏(エシカル・コンシューマーズ・オーストラリア代表)、岩附由香(NPO法人ACE代表)、有川真理子氏(環境市民チーフコーディネーター/理事)の4者で議論されました。

パネルディスカッションでは、中原氏より所属する日本エシカル協議会とは何かという話から始まりました。また、ゴードン氏からはACEと環境市民の取り組みへのコメントがありました。パネルディスカッションでは、情報をシンプルに伝えることの重要性や、NPOの役割分担と連携の大切さ、企業のランク付けの課題やインパクト、政府による児童労働・強制労働に関する調査や調達ルール作りの意義、企業がSDGsをきっかけに真剣にビジネスチャンスとして捉えて取り組む動きがあること、一方で大企業や小規模企業に何を期待するのかも課題であるといったことについて議論されました。

パネルディスカッションの様子

イベントに参加されていたエシカル・ファッション・ジャパン(EFJ)の竹村伊央氏から、グリーン・ウォッシュや「エシカルと言えば売れる」と考える企業の風潮についての危険性、企業による商品の認証への考え方なども課題として挙げられました。

イベント感想

今回の講演を通して、2015年9月に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成へ向けて、国際的な組織や援助機関に限らず、企業、あるいは私たち一人ひとりが消費者として何ができるのか、善い悪い含め、どんな影響を与えうるかについて考えたり、知ったりするきっかけになりました。

一方で、ゴードン氏のお話にもあったように、私たちの日常の背景で起こっていることを想像した時、倫理的な消費の必要性を感じつつも、倫理的な消費を行動に移そうとしたり、行動を持続させたり、そもそも選択肢として取り入れることは、金銭や情報面、社会的圧力の要因、意志の面、さまざまな側面が制約となり、難しくとてもエネルギーのいることだとも感じます。

さまざまな側面が制約となり、倫理的な消費を広めていくことが難しい中でも、エシカル・コンシューマーズ・オーストラリアや、環境市民、ACEのように取り組みを続ける団体があることが、奴隷状態で働いている約3000万人の人々や、過剰に資源を使っている現状に対し、変化を生み出していくことにつながっていくのだろうかと考えさせられました。

報告:ACE アドボカシー事業担当インターン 中尾はるか

わたしたちにできることはたくさんあります。
子どもの笑顔のために、できることから始めてください!

個人でできること

  • Pocket

  • カテゴリー:報告
  • 投稿日:2015.11.19